研究概要 |
平成24年度の研究により、以下の成果を得た。 1) 脂肪細胞から分泌されるサイトカインであるアディポネクチンの血中濃度の低下と糖尿病網膜症の重症度と関連があるとういう報告があるが、アディポネクチンの網膜血管の直接作用について、詳しく検討されていなく我々は、ブタの網膜摘出血管を用いたin vitro実験により、アディポネクチンが濃度依存性に血管拡張作用させ、さらにこの血管拡張は、内皮から産生された一酸化窒素(NO)が関与していることが考えられた。 2) アディポネクチンは、アディポネクチン受容体を介し、さまざまな生理作用を有する事から、アディポネクチンだけでなくアディポネクチン受容体も網膜症の病態に関与しているものと考えられる。しかし、網膜血管においてアディポネクチン受容体の存在が確認されていなく、今回、免疫染色にてブタ網膜血管の内皮にアディポネクチン受容体が存在することを確認した。上記1)2)の結果について平成25年に論文を発表した。(Omae T et al., Invest Ophthalmol Vis Sci. 2013 Jul;54(7):4586-94.) 平成25年度の研究により、以下の結果を得た 網膜症患者では、血中のアディポネクチン濃度と重症度が関連しているとの報告があり、また網膜症早期に網膜血流が低下しているという報告(Nagaoka T et al., Invest Ophthalmol Vis Sci. 2010 Dec;51(12):6729-34.)からアディポネクチンが網膜症の発症・進展に関与している可能性がある。そこで2型糖尿病患者における網膜循環と血中のアディポネクチン濃度の関連を検討し、網膜血流量と血中アディポネクチン濃度が有意に正の相関を示した。この内容は、今後学会報告予定。また、硝子体のアディポネクチン濃度は、濃度が低すぎるのか検出できず。
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