研究課題/領域番号 |
24791831
|
研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
工藤 孝志 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助手 (20598718)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 国際情報交換 / 悪性黒色腫 / 結膜腫瘍 / トレハロース / 腫瘍化学療法 / 細胞周期 / アポトーシス |
研究概要 |
申請者の研究グループでは最近トレハロースが結膜下線維芽細胞や血管内皮細胞に対してアポトーシスを誘導することにより増殖抑制効果を示すことを発見した。そこで申請者はトレハロースが悪性腫瘍細胞に対して同様に増殖抑制効果を発揮できるか否かを明らかにするために本研究計画を立案した。本研究では悪性腫瘍細胞としてヒト皮膚悪性黒色腫由来細胞株を使用し、細胞培養系でのin vitro条件下とヌードラットを利用して結膜下に腫瘍細胞を移植したin vivoでの環境下でのトレハロースの増殖抑制作用の有無とその分子機構について解析し、結膜悪性腫瘍に対するトレハロース点眼治療へ展開するための基盤研究とすることを目的とした。 実際の研究ではヌードラットの結膜下にヒト皮膚由来悪性黒色腫細胞を移植し、各種濃度のトレハロースを点眼し、トレハロースの腫瘍細胞増殖抑制効果を組織計測法にて確認するとともに、悪性黒色腫細胞を各種濃度のトレハロース存在下で培養し、MTTアッセイによる細胞増殖活性の変化とフローサイトメトリーによる細胞周期に関与する転写因子の発現量の定量的な観察を行った。その結果、トレハロースは濃度依存的に腫瘍細胞増殖を抑制し、かつ細胞周期に関与する転写因子を介して腫瘍細胞をアポトーシスに誘導する働きがあることを明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラット結膜下に移植したヒト悪性黒色腫細胞がトレハロースによってその増殖が抑制されたことがin vivo実験によって確認されたことと、その細胞レベルでの裏付けが分子レベルである程度なされたことによって本研究の目的は当該年度については達成されたものと考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
悪性黒色腫細胞のトレハロース添加培養を行い、細胞中で起こるシグナル物質の発現の差異を検討する。検討項目としてはPI (propidium iodide)およびアネキシンVによるアポトーシス細胞の検出に加えてATM (ataxia telangiectasia mutated protein)、Chk2 (check kinase 2) 、Cdc (cell devision cycle)、p53、p21 (癌抑制遺伝子産物)などのG2期に発現が高まるシグナルをFACS flow cytometryにて定量的に観察する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
|