研究概要 |
クラミドモナス由来チャネルロドプシン-2(ChR2)は、感受波長域が青色に限定される。本研究は新たに変異型チャネルロドプシン(ChR)を作製しの光特性を明らかにすることを目的とする。 ボルボックスより見出された赤方型チャネルロドプシン(VChR1)は、その波長特性から視覚再生研究に有用と考えられるが、ChR2に比べ光反応性が悪く実用的ではない。VChR1を基本に変異型のチャネルロドプシン遺伝子を5種類作製した。遺伝子発現細胞株のみを選択する為に、ピューロマイシン耐性遺伝子が付加されたChRプラスミドベクターと改変型ChR- Puro ベクターを作製した。これらをエレクトロポレーション法を用いて培養細胞(HEK293,PC12)に遺伝子を導入し、抗生物質のピューロマイシンを添加し、恒常的に遺伝子が発現している細胞株を樹立した。次に、今回作製した変異型チャネルロドプシンの光特性についてパッチクランプ法により電気生理学的に検討した。それぞれの波長(400,450,500,550,600nm)で光刺激を与え波長感受性を測定した。それぞれの遺伝子ごとのピーク波長や応答波長領域を確認し、ChR2よりも広い波長領域で応答することを確認した。また、同一波長で、減光フィルタを用いて光刺激の強さを1/5,1/10,1/50,1/100と変えたときに強度の差により応答に変化がみられるかを確認した。その結果、光強度に依存し応答することを確認した。 今後は、これらIn vitroでの結果を基にし、遺伝盲ラットに遺伝子導入を行い網膜スライス標本、または網膜伸展標本で同様の検討を進める予定である。網膜スライスあるいは伸展標本で光特性を調べることによって、網膜神経ネットワークでの光反応特性を知ることができる可能性がある。
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