研究概要 |
まず、我々は手術により得られた結膜組織を採取しDMEMにて培養をおこなった。これらを10cm dishにconfluentになるまで増やした後にウィルスを用いてOct3/4, Sox2, c-Myc, KLF4の4遺伝子を導入した。フィーダー細胞であるMEF(mouse embryonic fibroblast)上で培養し、ここから独立した3系統の結膜細胞由来のiPS細胞を樹立した。それぞれの細胞株について、幹細胞マーカーの発現チェック、teratoma formation assayによりiPS細胞の内胚葉、中胚葉、外胚葉への分化能を確認し、継代を繰り返し増殖能の確認も行っている。それぞれの結膜由来iPS細胞から網膜細胞へと分化誘導させるためにWntシグナルの阻害薬であるDKK-1(1ng/ml), basic FGF(0.5ng/ml), IGF-1(1ng/ml)を加えたDMEM F-12 mediumを使用した。collagen, laminin, poly-L-lysinにて coatしたdish上にコラゲナーゼ処理した結膜細胞由来iPS細胞を巻き培養を行った。網膜細胞への分化は網膜前駆細胞のマーカーであるPAX6の発現、網膜視細胞のマーカーであるCRXの発現などにより評価した。これらを用いることで従来使用している線維芽細胞由来iPS細胞から分化誘導させた網膜細胞と、結膜由来iPS細胞由来の網膜細胞の性状の違いがないか今後検討する予定である。
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