研究課題
豚やウサギの眼球を用いて内境界膜剥離の手技の可能性について検討を行った。人での環境と同様に、25G3portsシステムにて硝子体茎離断術を施行し、その後、インドシアニングリーン、ブリリアントブルーGを用いて、内境界膜の染色を試みた。インドシアニングリーンでは内境界膜は染色されなかった。ブリリアントブルーGでは内境界膜が染色された。しかしながら、豚やウサギの眼球における内境界膜はヒトでのものとは性状が異なり、把持した箇所のみ内境界膜が取れるものの、膜としてpeelingすることは困難であった。ウサギや豚の眼球では内境界膜剥離の手技は施行困難であると結論された。しかし、これと並行して人工的な内境界膜剥離モデルの開発を行っており、現時点ではこが使用可能な状態に近づいている。人工的である故に眼球間の個体差もなく、ロボットによる手技の利点を明らかにする上では、条件がそろった環境で評価できるので、その点では理想的である。また、圧センサーなども組み込むことが実現されたので、力学的側面からの評価も行っていくことが可能な状態となった。この人工の内境界膜剥離モデル眼については、現在特許申請に向けて取り組んでいる。また、網膜血管に近い径の人工血管モデルについても開発に取り組んでいる。このモデルでも、生体内では、網膜血管の走行や太さ、厚さに個体差が大きいため、実現できればより定量性に優れたロボットとマニュアル操作の比較が実現できる。
1: 当初の計画以上に進展している
動物を用いた生体での内境界膜剥離のモデル化は困難であることが判明した反面、材料工学的な研究開発により、人工的な内境界膜剥離モデルの実現が予想以上に進んでいる。
材料工学的な観点からの内境界膜剥離モデルの実現が進展しているので、今後は網膜血管内薬物投与についてもモデル作成に取り組んでいく。
すべて 2014
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The international journal of medical robotics & computer assisted surgery
巻: 未確定 ページ: 未確定
10.1002/rcs.1586.