人工的な内境界膜剥離モデルの開発を継続した。内境界膜付きの網膜の作成はPDMSやPVDC latexを用いている。種々の作成条件を検討して、実際の内境界膜剥離のモデルとして成り立つよう工夫している。主な条件としてPVDC latexの熱処理によるaging、aging効果を持続させるための乾燥剤、PVDC latexへのbeadsの混入、色素付加などである。細かい条件検討と製品化するための品質の均一化と維持、工学的特性の精査(tention testやDeobnding test等)を行った。また、よりモデル化を向上させるため、眼底と同等の局面を持ったモデルへも進化させた。さらに、モデルを用いた手術手技を評価するため、ポリウレタン製の特殊な圧センサーを組み込んだ。 同時に網膜血管モデルの作製も進行させた。網膜血管断面の形状、網膜表面からの露出の程度、血管径、血管壁厚等の条件を種々に検討した。血管内腔の還流、曲面化なども検討した。 今後は、これまでに作成した遠隔操作型網膜硝子体手術支援システムを用いてモデル眼球で内境界膜剥離を行う。本研究代表者だけでなく、研究協力者も同様にマニュアル操作とロボット(支援システム)を用いた手技を行い、網膜硝子体手術の専門家と一般眼科医、または非医師の研究者間で内境界膜剥離術成功率や習熟度を比較検討する。習熟度の評価としては内境界膜剥離の成否、また、制限時間内での内境界膜剥離面積によって行う。
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