研究課題/領域番号 |
24791847
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大石 明生 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50572955)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 眼生化学・分子生物学 |
研究概要 |
本研究の目的はSemaphorin3E/PlexinD1の経路が加齢黄斑変性の病態にも関与しているか、およびこの経路の制御によって加齢黄斑変性の発症、進行が抑制出来るか、を動物モデルを用いて検討するものである。 動物モデルとしてはマウスでのレーザー脈絡膜新生血管モデルを用いた。 我々はまず免疫組織染色を用いて脈絡膜新生血管組織中にPlexinD1が発現していることを確認し、RT-PCRを用いて、Semaphorin3E, PlexinDの発現はレーザー照射5日後にそれぞれ0.38倍、1.72倍と有意に変化していることを見い出した。 次にレーザー照射直後にSemaphorin3E蛋白を様々な用量で硝子体内に投与し、脈絡膜新生血管の抑制効果があるかを調べたところ、0.05µg以上を投与するとコントロールと比較して脈絡膜新生血管の抑制効果が見られることを見いだした。 最後にSemaphorin3E投与による脈絡膜新生血管抑制が、PlexinD1受容体を介したものか調べるため、PlexinD1コンディショナルノックアウトマウスを用いて、同じ実験を行ったところ、P=0.068とかろうじて有意ではないものの、野生型で見られた脈絡膜新生血管の抑制効果が失われる傾向を観察した。 これらの結果は、当該経路が脈絡膜新生血管の形成過程に関与しており、この制御が治療につながるものと考え、厚生労働省の研究斑会議にて概要を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2年間で考えていた実験計画のうち、大半を過年度中に遂行することが出来た。今後の実験は主にノックアウトマウスの維持、繁殖を要する系のため、これまでより多少長めの時間を要すると思われるが、本年度中には結果をまとめ投稿することが十分に可能と考える。
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今後の研究の推進方策 |
有意差が出ていないPlexinD1ノックアウトマウスでの実験でnを追加する。 reviseに備え、semaphorin3E, PlexinD1の発現をそれぞれWestern blottingを用いてタンパクレベルでも確認する。 またSemaphorin3Eノックアウトマウスも既に入手、繁殖しておりこれも用いて脈絡膜新生血管が大きくなるか検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
動物の管理費、免疫染色、硝子体投与に用いる試薬、Western blottingのキットなどが主な使途となる予定である。 その他、成果を国際学会で発表するための出張費や、論文投稿時の英文校正などに使用する。
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