研究課題
最終年度では、糖尿病黄斑浮腫を特徴づける新しいパラメータの探索を行った。その結果、黄斑部視細胞障害、網膜血管外に存在する細胞外液の貯留のメカニズムを新たに発見した。具体的には、hyperreflective fociと呼ばれる光干渉断層計(OCT)所見が、糖尿病黄斑浮腫に対する硝子体手術後に視機能障害、および、黄斑部視細胞障害を予測する重要な因子であることを見出した。また、視細胞の機能と密接な関係のある網膜色素上皮を、近赤外自発蛍光を用いて評価し、それらの相互作用の障害が、視力や視細胞障害と強く関与することを発見した。これらは、海外誌に掲載、もしくは、掲載予定である。次に、糖尿病黄斑浮腫における漿液性網膜剥離の発症のメカニズムについて検討し、網膜静脈径が拡張していること、また、周中心窩における血管透過性亢進が原因となっていることを突き止めた。その結果は、本病態における治療ターゲットを明瞭に示したものであり、今後の治療戦略の策定において、重要な位置づけを担っている。また、同時に、傍中心窩における血管異常、つまり、血管透過性や虚血の状態が、嚢胞様腔の形成に重要であり、その内容物に多様性があることを見出した。そのこともまた、病態理解を深め、今後の治療法の改善に大きく寄与できる。これらの成果は、海外誌に掲載されている。また、本研究の最終目標は、複雑な病態を統合的に理解することである。自己組織化マップを用いて、これらの所見、パラメータを、客観的な情報処理を行った。その結果は非常に興味深いものであり、黄斑部形態が主に5パターンに分けられることが新たに示された。例えば、漿液性網膜剥離が存在する症例では、嚢胞様腔が存在することが少なく、黄斑部網膜実質が肥厚する場合は、黄斑上膜を合併しやす。これらの病態理解は、今後の臨床で有用な情報となるであろう。
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