研究課題
1)視細胞保護効果を持つVCP阻害剤の特定:緑内障モデルマウスで、神経節細胞保護効果の確認できた薬剤を中心に、新規合成VCP阻害剤のうち、視細胞に対して保護効果のある薬剤を特定する。まずは、マウス網膜の組織培養あるいは、器官培養において、各VCP阻害剤の有無で、視細胞の生存率を比較する事によって、視細胞に対してより大きな保護作用を持つ薬剤を決定した。2)光干渉断層計を用いた、マウス・ウサギ視細胞の経時変化の検出法確立:網膜視細胞に保護作用をもつ薬剤を、マウス・ウサギモデルに投与するにあたって、同一個体での、視細胞の経時変化を見ることは、大変重要である。光干渉断層計を用い、マウス・ウサギで外顆粒層や視細胞の外節・内節接合部が描写されるかを確認できることを確認した。また、網膜色素変性症モデルマウス・モデルウサギを用いて、視細胞層の菲薄化の経時変化を、画像としてとらえられることを確認した。3)網膜色素変性症モデルマウスでの薬剤効果の判定:視細胞保護効果の確認できた薬剤について、網膜色素変性症モデルマウスへ投与し、視細胞の障害を抑制できるかを確認した。網膜色素変性症モデルマウスとしては、まずはrd1やrd10など、比較的視細胞変性が早いモデルを使用した。薬剤を生後7日齢より毎日腹腔内投与し、生後21,25,29,33日齢にて光干渉断層検査を行い、視細胞層をはじめ、網膜各層の経時変化を追うとともに、網膜電図検査にて視機能を評価した。視細胞層の厚みおよび視機能の両面から、コントロール生食投与群と比較してVCP阻害剤投与群で視細胞の障害が抑制されていることが確認できた。
2: おおむね順調に進展している
本年度に予定していた実験はほぼ遂行できた。実験結果が徐々にまとまりつつある。
4)遅発性網膜色素変性症モデルマウスでの薬剤効果の判定:引き続き、視細胞変性が緩徐におこる網膜色素変性症モデルであるrd12に薬剤投与を試み、光干渉断層計にて、視細胞の減少抑制効果があるか、長期経過を見る。視機能に関しては、同様に、網膜電図検査にて検討する。rd12マウスでは、視細胞の変性に約1年程度かかるため、薬剤投与は前年度から行う。5)網膜色素変性症モデルウサギへの薬剤投与:網膜色素変性症モデルである変異ロドプシンのトランスジェニックウサギ1)に薬剤投与を試みる。薬剤は経口投与および硝子体内投与を試みる。変性には数カ月を要すとされることから、2,3,4カ月齢にて、光干渉断層計を用い、視細胞の減少抑制効果があるか、経過を見る。視機能に関しては、同様に、網膜電図検査にて検討する。6)薬剤投与方法、投与量の検討:効き目のある薬剤が存在する場合、その投与法(経口、硝子体注射、点眼)、最適な投与量を検討するとともに、副作用などが起こらないかを検討する。
該当なし
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PLoS ONE
巻: 7 ページ: e36135
10.1371/journal.pone.0036135