平成24年度12月までに、脈絡膜新生血管力酸化リン脂質+マクロファージに誘導されるかについて検討した。まずは、in vivoで、酸化リン脂質(濃度脚のみを2国マウスの網膜下に注入し、1ヶ月後脈絡膜新生血管が発症することを確認した(10眼中8眼;80%)。コントロール(リン脂質:濃度50μl/ml)の注入ではみられなかった。次にマクロファージの網膜下注入にあたり、酸化リン脂質をマクロファージに暴露させることによりVEGFの発現がみられるのか、Ml型マクロファージになるのかM2型マクロファージになるのかをin vitroで検討した。酸化リン脂質の濃度50μl/mlと30μl/ml、コントロールとしてリン脂質50μl/mlと30μl/mlをマウスマクロファージ(RAW264.7)に暴露したところ、酸化リン脂質の両濃度ともにコントロールと比較して有意にVEGF発現量は多かった。酸化リン脂質(濃度50μl/ml)あるいはコントロールを暴露したマウスマクロファージにおけるiNOSとarginaseの発現を検討したところ、酸化リン脂質を暴露したグループでは、有意にiNosの発現量が多く、酸化リン脂質の暴露を受けたマウスマクロファージは、M1型を示すと考えられた。上記のin vivoで酸化リン脂質により誘導した脈絡膜新生血管病巣に集債するマクロファージは、M1型を多く含んでおり、酸化リン脂質によりM1型マクロファージが誘導されることにより、脈絡膜新生血管が発症する可能性が考えられた。加齢黄斑変性動物モデル(低照度青色光照射マウス)では、マクロファージがVEGFを発現し、また網膜視細胞外節を貪食することが電子顕微鏡レベルで認めているが網膜視外節に含まれるリン脂質の酸化が関連することを強く示唆するものであると考える。
|