研究課題
本研究は、難治性眼疾患である網膜色素変性に対する網膜刺激型(STS)及び視神経刺激型(AV-DONE)人工視覚による治療が、視覚中枢及び反対眼に及ぼす神経賦活化作用を確認し、これを用いた新しい治療法の可能性を検討するものである。まず、有色家兎に、STSの刺激電極を眼球(強膜ポケット内)に埋植し、視覚野にネジ電極を埋植して慢性の刺激系、および観測系を確立した。これを用いて、電気刺激による脳での誘発電位(EEP)、光による脳での誘発電位(VEP)、光による網膜での誘発電位(ERG)を1ヶ月ごとに埋植直後から6ヶ月後まで安定して測定することが出来た。次に、これと同様の刺激系および観測系を視細胞障害モデルのRCSラットに埋植を行い、3ヶ月間の慢性通電に成功した。電気刺激による視覚中枢への影響を評価する際に、対象となる大脳が小さく評価が行いやすいラットを用いて、STSよりも中枢に影響が出やすいと思われるAV-DONEを用いて、臨床試験で用いる刺激パラメーターで1週間ごとに2時間のAV-DONEによるRCSラットに対する連続通電を6ヶ月間行った。その結果、EEPが確実に得られたのは術後3ヶ月であった。また、埋植眼球に対する侵襲が大きくなったため、通電を行った眼とその反対眼での比較は困難であった。6ヶ月の慢性通電後に大脳の凍結切片を作成し、これらに対してGFAP、FGF、BDNF、CNTFの免疫染色を行った。その結果、慢性通電後とShamの間では明らかな差を認めなかったものの、一部の慢性通電後の固体では、GFAPに強く染色される固体があったことから、長期間の視神経電気刺激により脳に影響を与える可能性があることが示唆された。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol.
巻: 254 ページ: 661-673
10.1007/s00417-015-3104-1.
Brain Stimul.
巻: 8 ページ: 678-681
doi: 10.1016/j.brs.2015.03.001.