研究実績の概要 |
平成26年度は昨年度に引き続き病的血管新生モデルにおけるMrp4の役割につきMrp4ノックアウトマウスを用いて解析を進めた。 1. 研究内容: 病的網膜血管新生モデルとして 酸素誘発網膜症モデルを用いて解析を行った。生後17日目での網膜血管を評価した。Mrp4ノックアウトマウスでは野生型マウスに比較して無血管領域が有意に拡大していた。また、Retinopathy Scoring System (Higgins RD, et al. 1999)を用いた評価では、Blood vessel tuftsとCentral vasoconstrictionのスコアがMrp4ノックアウトマウスで有意に高かった。もう一つの病的網膜血管新生モデルとしてレーザー誘発網膜静脈閉塞モデルを作成して網膜異常血管の評価を行った。Mrp4ノックアウトマウスでの網膜静脈閉塞モデルの作成には成功したものの、レーザーによる神経網膜の組織損傷が強く、網膜損傷に伴う2次的な網膜血管異常の要素が混在する傾向にあったことから、レーザー誘発網膜静脈閉塞モデルでの解析については断念することとした。なお、現在、ストレプトゾトシン誘発糖尿病マウスモデルを用いて、Mrp4と糖尿病網膜症の関連についての研究が進行中である。 2. 研究の意義: 本研究結果からMrp4は網膜を病的血管新生から保護する働きがあると推測される。 3. 研究の重要性: 本研究でMrp4と病的網膜血管新生モデルの関連が明らかになったことより、次のステップとして疾患モデルでの解析を進めることが可能となった。現在進行中であるMrp4の糖尿病網膜症における役割が明らかとなれば、Mrp4の機能に注目した診断・治療の臨床応用を目指した研究が可能になると期待される。
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