糖尿病動物の作製には、Whister ratを用いた。絶食20時間後にストレプトゾトシンをSTZバッファーで溶解し、ラット体重当たり70mg/kg腹腔内投与した。投与翌日、尿糖試験紙を用いて尿中の糖の検出を確認し、糖尿病と判断した。普通飼料で9週間飼育し、研究に用いた。対照群として絶食20時間後にSTZバッファーのみを腹腔内投与したものを準備した。 次に,糖尿病動物群と対照群について角膜上皮接着能を測定し,平均±標準偏差について比較した。結果は糖尿病動物群で24.9±13.4g、対照動物群で33.2±18.9gとなり、糖尿病動物群の平均±標準偏差は対照動物群より低いことが分かった。t検定では、P=0.20(P>0.05)となり、有意差は認められなかった。次に角膜上皮接着能の中央値について、結果は糖尿病動物群で19.0g、対照動物群で25.5gとなり、糖尿病動物群の中央値は対照動物群よりも低いことが分かった。以上より、糖尿病動物群と対照動物群、この2群間において角膜上皮接着能に有意差はみられないものの、糖尿病動物群の角膜上皮接着能は対照動物群と比較して平均値、中央値ともに低い傾向にあることが分かった。 本実験の手技の精度向上が得られれば,in vivoでの角膜上皮接着能の評価が定量的に行えるようになると思われる。また,本系を用いることが,角膜上皮接着能を向上させる点眼薬,すなわち角膜上皮創傷治癒促進薬の開発・スクリーニングにおける評価機構として有用となりうる。
|