研究課題
研究代表者らは、IL-27が炎症初期にTh1反応を誘導し細胞性免疫を惹起する一方IL-23により誘導されたIL-17産生細胞のサイトカインを抑制することを初めて見出した。実験性自己免疫性ぶどう膜炎(EAU)を惹起したマウス網膜にIL-17産生細胞が浸潤することも初めて示している。前年度までにIL-10産生細胞であるTr1を炎症各時期(初期誘導期・ピーク期・後期)の網膜及び所属リンパ節のTh17/Tr1分画を検討しリコンビナントIL-27による眼炎症治療効果を検討したが、局所投与による効果は見出だせていない。IL-35はIL-27と同様IL-12関連サイトカインであり、いずれも免疫抑制作用が示唆されている。前年度までの結果を踏まえ、EAUモデルを用いてIL-27およびIL-35の眼炎症反応における作用につき検討を行った。rIL-27 は炎症初期にのみ IFN γ発現を増加させた一方、EAU 各期の IL-17 産生を抑制した。rIL-35 は EAU 誘導後各期の IL-17 産生に影響を及ぼ さなかったが、炎症後期に IFN-γの発現を増加させた。また EAU 各 期の所属リンパ節・脾臓において rIL-27 は Th1 特異的転写因子 (T-bet) の発現上昇および Th17 特異的転写因子 (ROR γ t) の発現減弱をみた が、rIL-35 は T-bet, ROR γ t の発現は不変であった。以上よりIL-27 は炎 症各期の Th17 を直接制御する一方、IL-35 は炎症後期に CD4 陽性 T 細胞から IFN-γを発現させ、Th1 を介する炎症抑制機構に関与する可能性が示唆された。
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Experimental Eye Research
巻: 125 ページ: 107-13
10.1016/j.exer.2014.06.004