研究課題/領域番号 |
24791860
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
高橋 枝里 熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (60622602)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 上皮間葉転換 / 網膜色素上皮細胞 |
研究概要 |
まず、硝子体と網膜色素上皮細胞のEMT誘導における関連について手術で得られたサンプルを用いて、EMTが誘導されるかどうかを検討した。2D培養において、各シグナル経路(Smad, NFkappaB, p38 MAPK)のリン酸化を検討したところ、一部硝子体刺激によって、リン酸化は亢進したが、疾患群による有意差はなかった。細胞運動能にも関与しなかった。そこで、機械的刺激後、硝子体刺激を行ったところ、機械的刺激単独でEMT誘導に関連する転写因子であるSmad2のリン酸化が有意に亢進することがわかった。機械的刺激後の硝子体刺激は、NFkappaBのリン酸化は濃度依存性に亢進することがわかった。さらに、3D培養を行うと、硝子体を含む3D培養において、特に、黄斑上膜、裂孔原性網膜剥離由来の硝子体下で、網膜色素上皮細胞は浸潤型を示す形態をとることが分かった。今後さらに、サンプル数を増やし、統計学的検討を行う予定である。さらに機械的刺激によって3D培養で浸潤型のphenotypeを示し、機械的刺激による網膜色素上皮細胞の活性化がEMTの誘導を促進することが示唆された。今回新たに、機械的刺激によって、NF2のリン酸化が著明に亢進することがわかり、3D長期培養においても、トリプシン処理に比較して機械的刺激後の3D培養群でNF2のリン酸化の亢進が持続していた。そこで、NF2の役割を調べるために、NF2 siRNAによるNF2発現抑制を行うと、NF2発現抑制により網膜色素上皮細胞がEMTを誘導されることがわかった。そこで、NF2の役割を調べるために、現在、NF2のN末端欠損、C末端欠損のベクターを網膜色素上皮細胞に導入し、検討を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
硝子体サンプルと網膜色素上皮細胞の実験において、さまざまな実験手法を試す必要があったことと、再現性を得るために多くの実験を費やす必要があったため、想定以上に時間を要したが、硝子体との関連はおおよそ検討ができたと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
NF2のEMT誘導における役割をベクターを用いて検討を行う。NF2のN末端欠損、C末端欠損、全長ベクターはすでに入手しており、今後発現効率、phenotypeの検討をすすめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費として、細胞培養に必要な培地や試薬、器具等、また解析に必要な抗体、試薬等を購入する。 旅費として、現在まで得られた知見を2013年5月にシアトルで開催されるThe association for research in vision and opthalmologyに採択されており、発表予定である。
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