研究課題/領域番号 |
24791867
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
加藤 亜紀 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60405157)
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キーワード | 網膜色素上皮単層シート / タイトジャンクション / 再分化 / ブルッフ膜 |
研究概要 |
前年度より網膜単層シートの作製に取り組んできた。単層シートを作製するのに最適な細胞密度および培地の条件を検討し、一定の成果がえられたところで、電子顕微鏡による観察をおこなった。また網膜色素上皮としての性質を保持しているかの確認のため、RPE-65、アクチン、サイトケラチンの発現を確認、また、タイトジャンクションを形成の有無を検討するためZO-1, オクルーディンなどタイトジャンクションを構成する蛋白の評価をおこなうなど、今後の研究を進める上での基礎をつくった。 本年は前年度不十分であった免疫染色による網膜色素上皮の分化マーカー(RPE-65、アクチン、サイトケラチン、ベストロフィン)の発現、あるいはZO-1, オクルーディンなどタイトジャンクションを構成する蛋白の発現を確認することを重点的に行った。これらのタンパク質の免疫染色を施行し、分化マーカーが発現していること、またZO-1, オクルーディンのタイトジャンクションの免疫染色を行い、細胞間の細胞膜に一致してそれらが発現していることを確認した。ブルッフ膜の構成成分である1型コラーゲン、4型コラーゲン、エラスチンの局在を免疫染色あるいはウェスタンブロットで検討した。 免疫染色に併せて電子顕微鏡による細胞表面および内部の詳細な検討を追加し、おのおのの所在をたしかなものにした。 組織学的な検討と平行して、移植に向けて安定化したシートを作製するために培地の種類、添加物、プレートの種類、大きさなど培養条件の検討を重ねた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H25年およびH26年では分化マーカー、タイトジャンクション、ブルッフ膜、リポたんぱくおよびドルーゼン様沈着物の検討を予定していた。併せてシートの保存、処理に関する検討を行う予定であった。分化マーカー、タイトジャンクション、ブルッフ膜にかんしては、ウエスタンブロット、免疫染色、電子顕微鏡での観察が順調に進み、それぞれの結果を照らし合わせることで、より説得力のある結果が得られたと考えられる。 リポ蛋白、ドルーゼン様物質においては細胞外に排出されるため、採取が困難であること、免疫染色も難しいことから進展が遅れているが、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
予定の計画より遅れ気味である、網膜色素上皮単層シート表面に認める排泄物の中のリポ蛋白に関しての研究をすすめる。走査型電子顕微鏡を用いて形態を観察するとともに、免疫組織学的にも主要蛋白の同定、apoE、apoB-100などのアポリポ蛋白の、発現、局在を調べる。 また生体におけるドルーゼンが、網膜色素上皮単層シート表面にも認められるか検討する。ドルーゼン様の沈着物が存在した場合には、ヒトのドルーゼンにおいて内外に認める主要タンパク質(ビトロネクチン、apoE、補体H因子、アミロイドβなど)が発現しているか免疫組織学的検討を行う。さらにウェスタンブロットで発現を確認する。 これら、シートの網膜色素上皮としての機能を解明しつつ、移植に向けて、より安定化したシートが得られるよう、培養条件、保存条件をさらに検討していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
残金は648円と非常に少額であり、試薬等の購入は困難であるため。 試薬等の購入に充てる
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