現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、力学、光学、医学の観点からアプローチを行い、老視矯正用調節性眼内レンズ開発に向けたヒト水晶体の調節メカニズムを解明することである。具体的には、1. 力学解析から水晶体の前後面曲率変化に影響を与える因子の解明、2. 光学解析から水晶体前後面曲率変化や水晶体核が眼球光学特性に与える影響の調査、3. 調節性眼内レンズへの適用検討を行う、であり、現在上記2までを終えている。 おおむね順調に進展している理由としては、水晶体は、核が存在することで、力学的にも光学的にも機能的役割があるとする過去の報告(清水, 第65回日本臨床眼科学会;魚里, 光学, 2002)や物性および形状データを含む既報(Navarro, J Opt Soc Am, 1997; Dubbelman, Vis Res 2001; Koretz, J Opt Soc Am 2001; Hermans, J Vis 2007, Optom Vis Sci 2008)を参考にできたこと、光学設計ソフト、3Dモデリングソフトウェアを年間リースできたこと、またサイバネットシステム社の光学に造詣が深い専門家に協力を仰ぎ、研究が効率的に進んだことが挙げられる。 しかし調査を行う中で、次年度に行う3. 調節性眼内レンズへの適用検討に関しては、形状、材質、またそれにかかる力の設定は、自由度が非常に大きく、困難が予想される。既報や現存するデータベースだけでなく、最近開発された液体レンズや膜に関する新素材の情報、あるいは本結果の条件に合う新素材の開発まで視野に入れた幅広い情報を含めて検討予定である。
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