18-25塩基からなるmicroRNA (miRNA)が標的mRNAの発現を制御することで発生・分化などの生命現象の制御に関与していることが報告されている。本研究課題ではヒト難治性ぶどう膜炎の動物モデルである自己免疫性ぶどう膜網膜炎(EAU)をラットに誘導し、眼局所でのmiRNAの発現について網羅的な発現解析を行った。 細隙灯顕微鏡検査にて抗原免疫後7日目にはEAUはみられなかったものの14日目に炎症のピークを示し、21日目には軽減した。さらにEAUの各病期での前房水中のサイトカイン(IL-1β)、ケモカイン(MCP-1)の発現を検討したところ、いずれもぶどう膜炎の炎症極期である免疫14日目でピークを示し、21日目に低下した。 MicroRNAの発現についてmiRCURY LNATM microRNA Arrayを用いて網羅的な発現解析を行ったところ、免疫前と比較して網膜におけるmiRNA の発現が上昇(2倍以上)した遺伝子数は免後7、14、21日目でそれぞれ0個、10個、9個、低下(1/2以下)した遺伝子数は0個、4個、0個であった。免疫後14 日目ではmiR-223、miR-142-5p、miR-21、miR-146aなどのmiRNAの発現上昇がみられた。免疫後21日目においてもこれらのmiRNAの発現上昇が維持されていた。 発現の変動のみられたmiRNAの中でmiR-223とmiR-146について定量PCRを行ったところ、免疫後14日目で発現のピークがみられた。一方で発現の低下した4つのmiRNAにはmiRNA-181a、183、124、331が含まれていた。EAUの炎症極期、または炎症消退期の網膜において発現の上昇、低下していたmiRNAがEAUの病態に関与している可能性が示唆された。
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