研究概要 |
5週齢のマウスに高脂肪食1ヶ月間負荷したところ、内臓脂肪の増加がみられた。このマウスでは網膜における強力な血管新生、血管透過性因子である血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor; vegf)の発現が上昇しており、網膜炎症が生じていた。一方、接着分子(intercellular Adhesion Molecule-1;icam-1), 白血球走化因子( monocyte chemotactic protein-1;mcp-1)の発現に高脂肪食とコントロール食で有意差はなかった。また、Nrf2の下流遺伝子であるheme oxygenase(ho)-1の発現低下がみられた。この生活習慣病モデルにおいて網膜の機能を検討するために網膜電図を施行したが、高脂肪食とコントロール食で有意差はなかった。 同様に網膜の炎症を引き起こす、急性炎症モデルを作成した。このモデルはリポポリサッカライド(LPS)による急性網膜炎症モデルである。このモデルでも網膜におけるサイトカインの発現増加、網膜血管への白血球接着の増加がみられ、網膜神経、網膜血管に炎症が生じていた。Nrf2ノックアウトマウスでは、コントロールマウスに比し、icam-1, mcp-1といった炎症関連分子の網膜における発現増加と網膜血管白血球接着の増加がみられ、網膜炎症が増悪していた。 Nrf2は網膜における炎症関連分子の発現を抑制して、網膜炎症を抑制すると考えられた。今後Nrf2を標的とした治療を目的としてさらなる検討が必要である。
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