研究課題
これまでの予備実験で、二光子励起顕微鏡を用いた大腸の生体内リアルタイムイメージングは大腸の創外脱転と固定は必要である。一般的なクローン病モデルとして使用される2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸誘発性大腸炎(TNBS colitis)は、遠位側大腸が炎症の主座であり遠位側大腸の創外脱転と固定は手技的に困難であると判断し、デキストラン硫酸ナトリウム誘発性大腸炎(DSS colitis)を炎症性腸疾患モデルとして取り扱うこととした。Green Fluorescent Protein (GFP)発現マウスDSS colitisの盲腸壁を二光子励起顕微鏡下生体内イメージングすると、陰窩上皮細胞の脱落と炎症細胞浸潤が主に観察できる。観察結果に基づく形態学的解析では、対象マウスとの比較及び同一マウスの継時的な比較から、Infliximab (IFX)は炎症細胞浸潤の消褪を促進するだけでなく、陰窩上皮細胞の再生を促進し陰窩の回復を促進していると考えられた。上記形態学的観察結果を、IFXを生体内イメージングしその作用点(集積部位、標識細胞)から推測することとした。マウスTNFαに対する抗TNFα抗体を蛍光標識後、経静脈的に投与しDSS colitisの盲腸壁を二光子励起顕微鏡下生体内イメージングした。蛍光標識抗TNFα抗体は粘膜固有層、粘膜下層に集積し遊離型TNFαと結合し中和していることが推測された。盲腸壁の後毛細管細静脈の内皮細胞に結合する白血球表面にも蛍光標識抗TNFα抗体の結合が観察でき、TNFα産生細胞の膜結合型TNFαと結合しその産生を阻害していることが推測された。二光子励起顕微鏡下生体内イメージングによって得られる形態学的観察結果を裏付ける分子生物学的解析(遺伝子及び蛋白発現など)の遂行が今後の課題である。
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