研究概要 |
カドミウムトリモデルの体節の分化・発生において、一番早期に組織学的な変化が見られたのが保温4時間後以降であったことがこれまでの研究で分かっているため、その分子機構の解明のために保温から1時間、4時間、8時間後にトリ胎児を摘出し、膜を取り除いた上で、Trizol保存(RT-PCR用)とホルマリン保存(免疫染色用)の両方を作成した。Trizol保存したものからはRNAを抽出し、逆転写酵素によるcDNA検体を作製した後、あらかじめ自らデザインしておいた標的遺伝子(Paraxis, SIX1, SIX4)に対する特異的なプライマーを用いてリアルタイムPCRを行い、結果を対象遺伝子のGAPDHとの反応生成物の濃度を比較することにより、比較的発現度を統計学的にまとめた。またホルマリン保存のトリ胎児からパラフィンブロックを作製した後、マイクロトームを用いて厚さ5μmで体幹の下肢レベルにて切片標本を作り。上記標的蛋白対するポリクローナル抗体を100倍希釈して一次抗体として用いてその一次抗体と4℃の冷蔵庫内で一晩寝かせた切片標本を、今度は蛍光(テキサスレッド)でラベルされた二次抗体と常温で20分間反応させ蛍光染色を行った。封入には核酸に対するDAPI染色を含んだ親水性のシーリング材を用い、最後に多焦点顕微鏡を使用し高解像度の蛍光染色画像を記録した。標的蛋白の分布と発現の程度を二重盲検法により客観的に比較し、欧州小児外科学会(Leipzig, Germany)および世界小児外科学会(Berlin, Germany)において口演および座長をする機会を得て、昨年に引き続き世界中の研究者に貴重な情報を発信できたことは、この助成事業の成果として大きいものと判断する。
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