研究課題/領域番号 |
24791895
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
高橋 正貴 独立行政法人国立成育医療研究センター, 外科, フェロー (10626766)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | リンパ管腫由来内皮細胞 / 薬剤直接効果 |
研究概要 |
我々は現在までにリンパ管腫由来内皮細胞株(HL-LEC)及び不死化細胞株を樹立している(投稿中)。HL-LECに対してin vitroで各種薬剤を加えて、それぞれの薬剤の直接効果を生物学的に比較検討した。薬剤としては現在までに有効性の報告があった OK-432、bleomycin、propranolol、sildenafil、dexamethasone、rapamycinの効果を検討した。薬剤の濃度は過去の文献を参考にし、実際に臨床で用いられている用量で設定し、72時間培養した。 結果は、OK-432は統計学的優位差をもって濃度依存性に生細胞数の減少を認めた。bleomycinでは生細胞数は優位に減少した。propranololではOK-432と同様に統計学的優位差をもって濃度依存性に生細胞数の減少を認めた。Rapamycinは濃度依存性に生細胞数の減少を認めなかった。Sildenafilは生細胞数を減少させる効果はみられなかった。dexamethazoneは生細胞数を減少させたが、優位差は認めなかった。 まとめとして、OK-432とbleomycinとpropranololはin vitroでHL-LECに直接作用してcontrolと比べて生細胞数を減少させた。これらは臨床で有用となりうるが、詳細な機序はわかっていないため、更なる検討と作用機序の解明が必要と考えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒトリンパ管種由来リンパ管内皮細胞(HL-LEC)に対して現在までに有効性が報告されている薬剤のin vitroにおける有効な薬剤の直接効果は確認できた。しかし、これらの詳細な作用機序は解明できていない。最も文献が多く、有用とされているOK-432についてより詳細に検討していきたい。また、今回有用であったpropranololとbleomycinについても検討が必要だ。その次のステップとしては動物モデルを作成し、動物モデルを用いてin vivoでの作用を検討する。大きさや形状変化を経時的に観察し、harvest した組織の遺伝子発現を genetip にて解析す ると同時に、蛋白レベルでの変化を免疫組織学的に判定する。
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今後の研究の推進方策 |
我々は現在までに OK-432 が endocytosis によりリンパ管内皮細胞の細胞質に取り込まれることを確認しており、PI3K/AKT 系の下流のシグナル伝達に作用し、apoptosisを誘導するのではないかと予想している。OK-432 はいかに細胞内に取り込まれるのかを免疫染色 を用いて、また endocytosis 後の細胞死への経路をシグナル伝達系を中心に検証する。次に、現在藤野が作成中の蛍光蛋白で標識されたリンパ管腫動物モデルを用いて、In vivo で の薬剤の動態と治療効果を組織を用いて検証する。これにより、有効な投与方法や有効濃度など が明らかになる。投与方法としては腫瘍への直接投与や経静脈投与などを濃度を変えて投与す る。大きさや形状変化を経時的に観察し、harvest した組織の遺伝子発現を genetip にて解析す ると同時に、蛋白レベルでの変化を免疫組織学的に判定する。 我々は、同時にリンパ管腫症由来リンパ管内皮細胞株およびリンパ管腫症モデル動物を樹立す べく研究中であるが、世界的に症例数も少ない上に検体を摘出することも稀である。そこで我々 が作成中のリンパ管腫モデル動物にサイトカインを投与した際のリンパ管腫の動向と、これにス テロイドやインターフェロンを加えた場合の動向も上記手法で同様に検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究に必要となるサーマルサイクラー、フローサイトメーター、DNA シーケンサー、マイク ロプレートリーダー等の大型機器はすでに研究室内に揃っている。その他、実体顕微鏡、共焦点 レーザー顕微鏡を備えており、高度なイメージングが可能となっている。 本研究で期待される成果を得る為には、常に標的細胞である細胞の安定した採取・調整が重要 となる。生体材料から目的の細胞を得るためには、コンタミの防止に最大限の注意を払う必要が ある。無菌試験をパスした製品(培地、血清、抗生剤等)の購入、滅菌操作を徹底するためのデ ィスポーサブル製品(ディッシュ、ピペット、遠心チューブ、グローブ、マスク等)の購入、発 現遺伝子解析のための試薬、免疫染色用抗体、卵・精子採取を行うための実験動物の購入、研究 作業に従事する研究補助者への謝金が経費の主な内訳となることは、極めて妥当であると考え る。旅費については研究打ち合わせのための都内移動費と本研究遂行期間内に国内外で発表でき るような成果を上げるため、学会参加のための旅費を申請する。
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