研究課題/領域番号 |
24791909
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
吉田 行貴 高知大学, 医学部附属病院, 特任助教 (90436402)
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キーワード | 脂肪移植 |
研究概要 |
形成外科臨床の場において脂肪移植は、乳房再建、外傷後の組織欠損部位への充填など、多様な部位に移植され、数多く行われる手技である。しかし、移植後の脂肪はその血流の悪さから、移植後数カ月たつと半分以上脂肪融解が起こってしまい、時に脂肪融解が原因と思われる感染を引き起こすことが臨床の現場でしばしば見受けられる。そこで、より効率的に脂肪移植を行うことができないか、と考えラットを使って被包型脂肪移植を行うこととした。方法としては、ラットの腹部から摘出した脂肪を、移植後の脂肪融解を防ぐ目的で、筋膜や人工のシートなど様々なもので包み込み、それを再度ラットに移植し、その生着率を比較することとした。現在行ったものは、被包せずそのまま移植したもの、筋膜で包んだもの、セプラフィルムで包んだもの、フィブラストスプレーを噴霧してそのまま移植したもの、の4種類である。そのまま移植したものは、移植した脂肪が小さく、また観察期間を長く設定してしまったためにすべて融解してしまった。筋膜でつつんだものは生着が確認できたが、やはり移植された脂肪が小さく観察期間が長かったため優位な結果は確認できなかった。セプラフィルムで包んだものは、言移植後異物反応による感染が起こってしまった。フィブラストスプレーを噴霧し、そのまま移植したものも、移植した脂肪が小さく、移植後脂肪融解が起こってしまい、優位な結果が得られなかった。今後は移植片の大きさ、観察期間、移植後の判定方法等検討が必要と思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
採取した脂肪を自家筋膜やセプラフィルムで包埋し移植したが、いずれも融解を起こし著明に吸収されたため、生着率判定に至らず、他の膜の使用や基本的な実験計画を再検討する必要があった。
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今後の研究の推進方策 |
他領域の研究者とも協議し、①動物種を変える ②脂肪組織摘出前に生体内で自己筋膜を飜転し包埋する、の2方法を計画中である。いずれもこれまでの結果を踏まえ、移植する脂肪の大きさ、観察期間の長さの設定については慎重に検討し移植後の生着率判定につなげたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の目的であるAMEF graftの有用性検討のため、ラット鼠径部より脂肪を採取、自家筋膜・人工膜(セプラフィルム)に包埋後移植した。膜部分の血管新生誘導による生着を予想していたが、脂肪融解が起こり吸収が顕著であったため、生着率判定までに至らず、他の膜の使用や実験計画の大幅な変更等について再検討する必要があったため。 今後の推進方法でも示したように、他専門領域のスタッフとも協議をしながら進めていく。 現在、①動物種を変える ②脂肪組織摘出前に生体内で自己筋膜を飜転し包埋する、の2方法を計画中で、これまでの結果を踏まえ、移植する脂肪組織片の大きさ、包埋する膜、観察期間についても慎重に検討し、移植後の生着率判定を行う予定であり、これにかかる実験動物や人工膜ほか消耗品類の購入を予定している。
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