化学療法の皮膚合併症に対して美容医療的手技を用いる治療の効果を高めるため,加齢による変化と化学療法の合併症による変化を比較した。正常高齢者と化学療法施行後の皮膚では,乳幼児皮膚と比較して表皮の菲薄化,真皮乳頭の減少および真皮浅層の血管網の減少,真皮由来細胞の多分化能の低下などを認めた。老化や化学療法による皮膚変化は真皮に存在する幹細胞の減少と関連があると考えられたが,老化と化学療法後の皮膚では明らかな差を認めるには至っていない。乳幼児真皮に特異的な現象であったり,化学療法施行後の検体数が少なかったりしたため,さらに多面的な検証が必要である。
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