研究課題/領域番号 |
24791919
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
江藤 ひとみ 杏林大学, 医学部, 助教 (40612594)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 瘢痕治療 |
研究概要 |
代表者のこれまでの研究で、コラーゲン分解酵素であるMMP-1の発現低下が肥厚性瘢痕の病態のひとつと考えられること、瘢痕組織内へのbFGFの局所投与が、MMP-1の発現亢進とHGFの発現抑制をもたらし、既に形成された肥厚性瘢痕に対する新しいアプローチになり得ることを示してきた。本研究では、さまざまな形態の瘢痕の組織と細胞を採取して目立つ醜状瘢痕の病的特性を解明すること、bFGFがさまざまな状態の醜状瘢痕組織に与える影響と機序を細胞レベルで詳細に調べ、瘢痕治療への臨床応用につなげることを目標としている。 瘢痕形成の発生機序や予防についての研究はすでに多数の機関で行われており、徐々にそのメカニズムが提唱されているものの、肥厚性瘢痕を含む醜状瘢痕が維持される病態を対象とする研究は少なく、臨床での治療法も慣習的である。しかし長期間残存している瘢痕の治療を希望して受診する患者は多く、瘢痕の整容的改善をもたらす新しい治療法の開発は、創を扱う医療において大きな意義をもつ。 また瘢痕に対する増殖因子局所投与治療についての報告はないが、私たちの前実験ではin vitro, in vivoの両方で、増殖因子が肥厚性瘢痕に対して治療的効果を持つことが示唆されている。bFGF製剤は臨床で使用可能であるが、その最適条件を十分に検討することで、効果的かつ安全性の高い治療につながると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通りのエフォートで研究に従事できている。 さまざまな瘢痕組織から、線維芽細胞を採取し、組織標本を作成した。 細胞の遺伝子発現解析、組織の免疫組織化学、bFGFの影響などを解析している。
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今後の研究の推進方策 |
線維芽細胞は、真皮浅層と深層とでその性質を大きく変えること、肥厚性瘢痕やケロイド組織は真皮深層細胞の影響が強いという報告があることから、それぞれの検体で浅層細胞と深層細胞をそれぞれ採取するように計画を変更した。 それぞれの細胞の遺伝子発現解析を行い、増殖因子の影響も調べる。 またin vivoでのマウス瘢痕モデルを用いて生体での増殖因子局所投与の影響も調べる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品・試薬などの消耗品や動物の購入に、計画費を使用する予定である。
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