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2012 年度 実施状況報告書

マウス発生過程の皮膚創傷治癒における様式変化の要因の検討

研究課題

研究課題/領域番号 24791922
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

鳥海 正博  慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20528210)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード創傷治癒
研究概要

胎生中期以前のマウスの皮膚は、損傷後に瘢痕を形成することなく再生する。それ以後になると瘢痕が必ず形成されるようになる。このfetal-typeからadult-typeへの治癒様式の変換期において、血管やリンパ管の新生がどのように関与しているのかを調べる目的で研究を行っている。これまでの研究により、胎生13~15日目までは、成獣の場合と異なり、明らかな肉芽組織が形成されることはなく、真皮直下および皮下組織深層にLYVE1陽性のリンパ管が新生することが分かった。また、胎生中期以前においては、LYVE1陽性のマクロファージが創傷部位に集積する。骨髄由来の単球やマクロファージが皮膚創部に動員され、血管新生の誘導を行うことが報告されていることから、これらが血管やリンパ管の新生に深く関与していることが示唆された。胎生13~15日目までに創部組織へ集積するマクロファージが大型で多数の突起を持つ形態的特徴を持つのに対して、胎生17日目の創部で観察されるF4/80陽性の単球/マクロファージはより小型で、円形に近い形態をもつことから、機能的にも胎生期の進行に伴って変化していることが予想される。
マクロファージの機能分化については、M1/M2などの分類が有名であるが、今後は細胞表面マーカーや遺伝子発現の解析により、マクロファージのサブタイプがどのように変化するのかについて検討を行う予定である。
また、特定の遺伝子変異により血管新生に異常をきたすノックアウトマウスを用いて、創傷治癒過程を観察することにより、fetal-typeの創傷治癒様式の特徴の一端が明らかになると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

胎生期の創傷治癒過程を解析するに当たり、胎児の脆弱な組織を分析する必要がある。回収した組織を免疫染色で観察することはさほど困難ではないものの、さらに細胞を選別したり、その性質について解析したりすることが、組織の量的な問題によって困難な場合がある。今後、技術的問題点を検討し、これらを解決する予定である。

今後の研究の推進方策

今後は更に実験を重ね、まずは介入の標的となる分子の特定を行う予定である。そのためには、妊娠マウスに対する胎児手術を多数行い、組織の解析を行う必要がある。マイクロアレイによる網羅的解析を行い、その中から候補となるものを抽出することも検討している。

次年度の研究費の使用計画

未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果であり、翌年度の消耗品や研究物品の購入に充てる予定である。
妊娠マウスなど動物購入のための費用、マイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析の費用など、前年度と比較して必要となる経費が増加する可能性が高い。交付された研究費をこれらに充てることにより、成果をあげる予定である。

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公開日: 2014-07-24  

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