前年度は、collagen type I、IVを用いた三次元培養を用いて、脂肪組織幹細胞(ASC)と線維芽細胞株(Fibroblast)を対照として乳腺上皮細胞(NMuMG)とmouse DFATとの相互作用を検討した。その結果、表現型として増殖能や形態に変化が確認された。しかしながら、三次元培養のために用いたcollagen培地では、培地の性質上、RNA採取並びに免疫組織化学などの検討が困難であった。そこで、増殖能や形態学的変化以外の変化に関して検討を行うために、血管新生等に用いられるハニカム構造を持つ、collagenスポンジを用いて、前年度に行った共培養検討の追試を行った。このcollagenスポンジは、RNA採取時のLysisにて溶解し、また、免疫染色時に行うcompaundにて封入が可能であることから主にRNAや蛋白質発現の検討を念頭に施行した。結果は、昨年度の共培養と同じく、増殖能に変化がみられたが、培養系の変化により、昨年度と至適条件が異なり、昨年度に検討した細胞数の検討を再度検討し直し、NMuMG:mDFAT=1:1(1x10^5)で 培養した際に、もっとも増殖能に変化がみられた。 生体における相互作用を検討するために、マウス乳腺組織にDFATを局所投与することを試みた。局所投与したDFATの局在性を高めるため、前年度に使用したcollagen typeIVのMatrigel内にGFPラベルされているDFATを封入し、正常乳腺組織の周囲に局所投与した。確認できるマウス正常乳腺に対して計6か所局所投与し、2週間飼育後、乳腺組織周辺を拡大切除し、HE染色にて確認したところ、正常乳腺組織に対するDFATの影響はあまり認められなかった。
|