研究課題
世界的にレーザー光線による骨の切削加工は実用の段階にない。現在のところ手術時の骨の加工は、ノミ、ドリル、電動ノコギリといった機械を術者が手で支えて行っている。機械は重く、反動も大きいため骨折線がぶれる、歪む、切り代が大きくなるなどの問題がある。レーザー光による骨加工が可能となれば、精密な手術計画に基づき正確に短時間に手術が可能になる。現在、1070nmの波長のレーザーにて骨切断が可能であることがわかってきており、そのレーザーでの出力や走査スピードによる骨の創傷治癒(骨癒合)に関して、研究した。ウサギの橈骨を切断しても前肢で体重を支えることができる。このことを利用して、レーザー照射後の創傷治癒、骨癒合具合を組織学的に検討した。【方法】ウサギの橈骨を露出し、レーザー照射にて骨を切断する。切断後、骨膜を縫合し、切断箇所をマークしておく。皮膚縫合し、通常の飼育を行い、3週間後に安楽死させ、当該部位を切り出し、脱灰標本を作製。骨を含めた周囲組織を含めて、組織学的に創傷治癒、仮骨形成、熱変性の度合いを評価した。コントロールとして、機械的なノコギリで骨切断した群と比べた。また、手動で20Wと30Wで出力し、骨切断も行なった。【結果】出力を60Wとし、20mm/secにて実際に骨の切断を行った場合、切断幅はノコギリで切断した場合と比べて、ほぼ同じ幅であったものの、レーザー光で切断した場合のほうが0.1mm幅が広かった。3週間後に切断部の脱灰標本を作製してみると、仮骨の形成が確認でき、ノコギリで切断した場合も同様に仮骨形成を確認することができ、両者に差はなかった。手動群では、出力が高い方が、熱損傷が多かった。
すべて 2014
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Lasers Med Sci
巻: 29(3) ページ: 1125-9
10.1007/s10103-013-1487-y