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2012 年度 実施状況報告書

動脈硬化を伴う敗血症の病態と治療法の確立;プロスタグランジンD合成酵素の動態

研究課題

研究課題/領域番号 24791935
研究機関滋賀医科大学

研究代表者

山根 哲信  滋賀医科大学, 医学部, 助教 (50464194)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード敗血症 / リポカリン型プロスタグランジンD合成酵素
研究概要

敗血症(sepsis)は感染症を基盤とした全身性炎症反応症候群であり、近年、動脈硬化を伴う重症化例が増えている。ショックをともなうSepsisに対し、血液浄化療法であるPDF法は、サイトカインの除去だけでなく、それ以外の物質を除去することで循環を改善すると考えられる。一方、リポカリン型プロスタグランジンD合成酵素(L-PGDS)は動脈硬化巣の血管内皮細胞に発現しており、血管拡張作用などに関与しているため、Sepsisにおいても循環不全に関与することが予測される。本研究では、Sepsisにおいて過剰に分泌されたL-PGDSが血行動態に影響すると考え、L-PGDSの血中濃度と、動脈硬化やサイトカインなどのパラメーターとの相関を検討し、またPDF法の効果との相関も検討することで、Sepsisにおける循環不全の新たな機序を解明することを目的とする。
平成24年度には、Sepsisにて、当院・集中治療室に入室となった患者より採血を行い、血中L-PGDSを測定し、Sepsisの重症度と血中L-PGDS濃度との相関を検討した。また、頸動脈エコー法により、動脈硬化度を評価した。現在のところ、統計学的検討に十分な症例に数には至っておらず、引き続き症例を集めている。
また、臨床データの裏付けとして、敗血症モデルマウスによる心血管系でのL-PGDSの発現を検討した。マウスに対しlipopolysaccharide(LPS)を30㎎/㎏腹腔内投与し、対照群と比較した(n=4)。翌日、心臓、大動脈を摘出し、L-PGDSのmRNA発現の変化を検討した。L-PGDSの発現は、大動脈では有意差はないがLPS投与で増加する傾向にあった。心臓では、LPS投与で低下した(P<0.0497)。このように、LPS腹腔内投与マウスでは心血管系におけるL-PGDS発現の変化をみとめ、血行動態に関与することが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究計画として、重症Sepsis症例のうち、ビリルビン上昇を伴う臓器不全を合併した症例において、PDF(Plasma Dia-filtration)法による血液浄化を行い、その前後で血中L-PGDS濃度の測定を行い、PDF法治療による血中L-PGDS濃度の影響を検討、また、PDFカラムの前後の血液中、および濾過排液中のL-PGDSをそれぞれ測定し、PDF法によるL-PGDSのクリアランスを測定する予定である。当初予定した十分な症例数には至っていないため、統計学的解析を含め、十分な検討に至っていない。引き続き、症例を集めている。

今後の研究の推進方策

Sepsisにて当院・集中治療室に入室した患者より採血を行い、血中L-PGDSおよびサイトカイン測定、炎症、感染マーカー、凝固・線溶マーカーを測定する。頸動脈エコーにて内・中膜肥厚(IMT)を測定し、動脈硬化の程度を評価する。重症度スコアおよび各マーカーと血中L-PGDSとの相関を検討して、L-PGDSとSepsis重症度との相関を検討する。
また、血漿交換の適応となる重症のSepsisにおいて、PDF治療を行った症例に、PDF法によるL-PGDSのクリアランスを測定、また、治療前後の血中L-PGDSおよびサイトカインを測定し、PDF法の治療効果との相関を検討する。以上の検討ができるように、引き続き症例を重ね、データを集める。
さらに、敗血症モデルマウスによる検討では、LPS腹腔内投与の濃度を変えて、L-PGDSのmRNAの発現がどのように変化するか検討する。これには心臓、大動脈に加えて、その他の主要臓器(肺、肝臓、腎臓、脳など)での変化も検討してみる。また、各臓器でのL-PGDSの免疫染色を行い、組織学的にどのような変化が生じるか検討する。また、炎症性サイトカインなどのmRNA発現についても検討して、L-PGDSのmRNA発現との相関を検討し、組織学的な変化も合わせて検討する。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

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公開日: 2014-07-24  

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