研究課題/領域番号 |
24791937
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中川 淳一郎 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (60597508)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 生体イメージング / 活性酸素 / 外傷 |
研究概要 |
クラッシュ症候群は地震などの災害や交通事故による車体の変形などにより、身体が長時間圧挫されることにより生じる。我々は既に確立されたラットクラッシュ症候群モデルを用いて、クラッシュ症候群における組織虚血再還流障害と引き続き生じる遠隔臓器障害に焦点をあて研究を行った。 2012年度は生体イメージングシステムを用いて、クラッシュ症候群により生じる活性酸素種を可視化することを目的に研究を行った。研究を進める中で、ラットは個体の大きさの影響から光を通しにくいことが明らかとなり、当初予定していたin vivo imaging から、まずex vivo imaging による評価を行うこととした。蛍光標識に用いたCellRoxTM Deep Red Reagent は予備的実験の結果、25μMに調整し投与1時間後に測定することで各臓器の活性酸素を可視化できることが明らかとなった。 ラットクラッシュ症候群モデルにおいて、損傷20時間後に測定を行ったところ、直接損傷を受けた下腿筋に加えて損傷を受けていない肺においてシグナルの増強が確認され、活性酸素種が大量に産生されていることが明らかとなった。この結果は我々が想定したクラッシュ症候群において活性酸素種が病態に大きく関与していることを示すとともに、すでに我々が報告してきたクラッシュ症候群の遠隔臓器障害が肺に強く生じるとした結果と合致したものである。 生体イメージングを用いた臓器障害の評価法は現在開発途上であるが、本手法による測定法が確立されれば、クラッシュ症候群をはじめとする全身疾患において、どの臓器に強く障害が生じているかが明らかにできるとともに、それに基づいた新たな治療戦略を構築することが可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の研究は蛍光標識試薬の投与量および測定タイミングを確立するのに時間を要した。また当初計画していたin vivo imaging による測定が困難となったため、ex vivo imaging へ測定手法を変更するために時間を要した。ただし今後測定する予定の血清検体や組織標本は確保できていることから、研究の遅れは最小限と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2012年度研究でラットに対するin vivo imaging は個体の大きさから測定が困難であることが明らかとなった。このため現在ex vivo imaging を用いた評価を行っている。2013年度は研究計画書に基づいて、生体イメージングをはじめとする各種研究を進めて行く予定である。 またin vivo imaging については、理化学研究所ナノバイオ研究チーム・チームリーダー神隆氏の協力のもと、ラットのin vivo imaging に使用可能な蛍光標識試薬の開発を進めており、本試薬が開発されればさらに研究が進むものと考えられる。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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