研究課題/領域番号 |
24791939
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山田 知輝 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (40623434)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 敗血症 / 腸管内治療 / シンバイオティクス / プロバイオティクス / 腸内細菌叢 / SIRS(全身性炎症症候群) / 集中治療 |
研究概要 |
腸管が侵襲時の重要な標的臓器であることは広く認識されつつあり、経腸栄養の有用性などが集中治療領域で報告されてきている。昨年発表された米国のSepsis Surviving Campaign Guideline2012や集中治療医学会の敗血症治療ガイドラインでも、栄養療法の稿が新設され、その重要性が論じられているが、敗血症における腸管内治療はいまだ確立されておらず、記載はない。しかしながらプロバイオティクス/シンバイオティクス療法は様々な重症疾患で注目されてきており、敗血症に関わる腸内細菌叢の関わりが明らかになれば、新たな腸管内治療の確立につながる。 具体的には、腸内細菌叢(乳酸菌、ビフィズス菌などの善玉菌とMRSA、緑膿菌などの悪玉菌)のバランス、短鎖脂肪酸(有機酸)を中心とする腸管内環境の変化を定量的、経日的にとらえ、全身病態との関連性を明らかにし、さらにシンバイオティクス投与が重篤な感染症の合併を減らす適切な腸管内治療になるかどうかを検討するべく、症例の集積を行っている。特に重症敗血症に対するシンバイオティクス投与効果に関しての研究はこれまでなく、世界初のRCTとしてその有効性を示したい。 現在のところ、当初の予定通り、16歳以上の人工呼吸器管理を要するSevere Sepsis患者をシンバイオティクス投与群と非投与群に無作為に割り付け、通常の敗血症治療(抗生剤、ドレナージ、経腸栄養など)を行ったうえで、それぞれの患者の腸内細菌叢、腸内環境を週ごとに評価し、合わせて感染合併症(腸炎、肺炎、菌血症)発生の有無や28日死亡率、ICU死亡率、腸管蠕動不全の発生率、SIRS指標の変化などにつき評価している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当施設での症例が一時的ではあるが減少していたことと、多施設研究としているが他施設の体制確立や倫理委員会承認に時間を要したことなどが相まって当初の予定よりやや遅れている。現状ではこれらの問題は解決しつつあり、順調に症例集積を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
多施設共同前向きrandomized control研究として、平成24年度に引き続きデータを蓄積する。 症例が集積出来次第、感染合併症や予後の結果を解析し、データ解析を行う。また、腸内細菌叢、腸内有機酸の測定結果から、シンバイオティクス療法のこれらに対する効果と、感染合併症発症率や予後との関係など、詳細に、多面的に検討し、理想的な腸内環境と、そのために必要な更なる治療介入など、新たな側面からも検討を加える。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度から引き続き、投与する食品(生菌製剤)、解析のための測定試薬、測定キットが消耗品として必要である。また、直接の人事交流を介した情報交換、意見交換を行なうための経費や、国内ならびに海外での成果発表および研究打ち合わせを予定している。研究論文作成に向けた文献校閲、専門的知識の提供や、資料データ整理のための費用も必要である。
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