研究課題/領域番号 |
24791940
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
早川 航一 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60403086)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 心原性院外心肺停止 / 集学的治療 / 神経学的予後 |
研究概要 |
我々は地域網羅的なウツタイン大阪のデータを用いて、心原性院外心肺停止症例に対する的中率の高い予後予測式を確立し、2011年Resuscitation誌に発表した。本予測式は来院の時点で予後予測できる利点を有している反面、入院後の治療内容が予後に与える影響については十分に考慮できていなかった。近年、院外心肺停止症例に対し、脳低温療法や経皮的心肺補助装置(PCPS)が積極的に行われるようになってきているが、それら集中治療が予後へ与える影響に関しては地域網羅的なデータに基づいた検証はされていない。 本研究の目的は心原性院外心肺停止症例において入院後の集中治療が予後に与える影響を地域網羅的なデータに基づいて検証することである。大阪府民約880万人を対象とした前向きかつ地域網羅的な院外心肺停止症例のレジストリーであるウツタイン大阪のデータに病院での治療内容を連結させることが本研究を遂行するうえでの大事なステップである。 大阪府下全ての3次救急医療施設および2つの2次救急医療施設により構成される『病院外心停止に対する包括的治療体制の構築に関する研究班(CRITICAL STUDY GROUP)』において事前に十分な協議を行ったうえで、平成24年7月よりパイロット集計を開始した。既存のウツタインデータとは救急要請覚知時刻で連結させることとした。病院到着後の治療内容としては脳低温療法やPCPSの実施の有無に加え、経皮的冠動脈形成術実施の有無や投与した抗不整脈薬の種類等も調査することとした。また、患者の基礎疾患や来院時の採血データも合わせて調査することとした。現在のところ約300例(うち心原性は約5割)のデータが集計されている。今後も月1回の研究班会議を開催し、データ集計システムに不具合がないか、調査すべき他のデータはないかについて協議を重ねたうえで、研究参加施設を増やしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した計画どおりに研究が進行している。適宜、研究班会議を開催し、研究協力者の助言を仰ぎながら研究を進めているため、今後も順調に進行する可能性が高いと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
このまま順調に計画が進行すれば、予定通りの多変量解析が行うことができ、集中治療の予後への影響につき検証できると考えている。ただ、データ入力に関しては各救急施設の担当者に一任する形となっているため、施設によってはデータ入力の進捗が遅れている状況である。適宜、研究班会議で協力要請を行い、対応してゆきたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究におけるデータ登録システムの開発および管理は企業に委託した。その委託費は研究協力者の得た研究費(研究目的は異なる)により賄うことが可能であったため、本年度の必要経費は予想以上に少ない結果となった。次年度以降にはシステム維持費や解析ソフトの購入、会議費・交通費が必要となるため、研究費を次年度以降へ繰り越すこととした。
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