研究実績の概要 |
平成26年度は重症患者(ICU入室患者)12人(男性5人,平均年齢 57 ± 20,敗血症性ショック 8例,広範囲熱傷 2例,急性肝不全 1例,多発外傷 1例)および健常成人 2例から得られた計39回分(敗血症性ショック 23回,広範囲熱傷 6回,急性肝不全 2回,多発外傷 3回,健常成人 5回)に関する全15種類のphenotype抗体(CD 4 / 8 / 11c / 16b / 25 / 36 / 66b / 68 / 123 / 127, CCR- 4 / 5, CXCR- 3, CRTh2 )の結果を解析した。末梢血白血球数が検体毎に異なるため、検体間での白血球分画の正確な比較のために、診療で同血液検体を用いて測定された末梢血白血球数から、抗体スポットに吸着しうる白血球数を算出し、この白血球数で測定された各分画の細胞数を除することで、各分画の割合を算出し、患者間で比較検討を行った。健常人と比較して敗血症性ショック患者では有意にCD4の割合が減少し(0.05±0.03, 0.13±0.55; P<0.01)、SOFA Score (Sequential Organ Failure Score)の増加に反比例しCD4は直線的に減少した(y=-0.005x+0.1, R^2=0.17)。多発外傷および広範囲熱傷ではこの変化は明らかではなかった。SOFA Scoreの各項目と白血球分画との関連や、臨床経過を加味した経時的変化との関連を示すにはさらなる症例の蓄積が必要であった。非外傷患者を含む重症患者においても白血球表面抗原の網羅的解析システム(IP)は迅速・簡便に行うことが可能であった。臓器障害発症前後に網羅的解析を行うことで、臓器障害発症後にCD4, CD36, CD16b, CD66bが有意に変化することが分かった。臓器障害の重症度とCD4の割合は負の相関を示した。
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