研究実績の概要 |
頭部外傷(TBI)では受傷直後におこる一次性脳損傷とその後に生じる二次性脳損傷が知られている。この二次性脳損傷の抑制が頭部外傷の予後に重要であり,活性酸素や酸化ストレスの関与が示唆されている。神経ペプチドのひとつであるPACAP (pituitary denylate-cyclase activating polypeptide)は神経保護作用を有し、脳虚血モデルで脳梗塞の抑制作用が報告されている。本研究では平成24年~27年にかけて、PACAP38投与がマウス頭部外傷モデルにおいて24時間後の神経損傷領域(神経変性線維を染色するFluoro JadeB染色)を減少させることを報告した。以前の研究から、頭部外後3時間に最も活性酸素種が産生されることがわかっている。このため、本検討でも、受傷後3時間に、大脳皮質の抗酸化能(Mn-SOD, GPX-1, HO-1,2, チオレドキシン1, Zn-CU-SOD)を測定しPACAP38の抗酸化に対する影響について検討した。結果、PACPP38は受傷3時間のMN-SOD, GPX-1の働きを有意に向上させていることが確認された。さらに、PACA38の拮抗薬であるPACAP6-38を用いてPACAP38がPAC1受容体を介して作用しているかについての検討をおこなった。結果、有意さはなくPACAP38はPAC1受容体以外を介して作用していることが確認された。
|