研究課題
マウス心筋虚血再灌流モデルは作成可能であった。手術環境も問題無く整える事ができ安定したモデル作成が可能であった。そうした上で虚血再灌流モデルを作成したところWTマウスでは虚血再灌流障害が甚大に認められたがSOCS3KOマウスでは障害が抑制されていた。これにてやはりSOCS3は心筋虚血再灌流障害の重要な分子と解った。またそれらのモデルでは、SOCS3KOで生存シグナルであるJAK-STAT経路の活性が顕著である事が解った。WTマウスでは既知の如くSOCS3の発現が見られると同時にJAK-STAT経路の活性が抑制されていた。障害の抑制にはJAK-STAT経路の発現が重要である事も解った。さらにそのメカニズムを究明するためアポトーシス因子を観察したところアポトーシス抑制因子であるMcl-1の発現がSOCS3KOマウスで顕著である事が解った。心筋虚血再灌流障害の抑制にはSOCS3が重要な役割をはたし、またそのメカニズムにはアポトーシス因子が需要である事も解った。これらを踏まえて臨床研究への発展を検討中である。
3: やや遅れている
臨床応用について検討をしている。しかしSOCS3を安全に効率よく心筋特異的に欠損または発現を低下されるには非常に高度な技術が必要であった。SOCS3遺伝子のShort hairpin RNA (shRNA)を各々4クローン入手し、それをPlatE細胞に遺伝子導入をする事によってshRNAのレトロウイルスを作成してこれをNIH3T3に感染させ安定発現株を作成した。これらをマウスに投与しSOCS3の発現を抑制する事は可能であったが、他臓器への影響が完全に無い事を証明できず、心筋以外にも作用している可能性があった。これについてはデリバリーシステムの再考が必要であり、現在検討中である。
新たなshRNAクローンの作成を行う方針としている。また全く新しいデリバリーシステムについても併行して検討中である。我々は虚血心筋の膜透過性が亢進している事を利用して生体レベルで高分子ナノミセルによる薬剤・遺伝子のデリバリーシステムについても検討しており、これについても研究を進める。
新たなshRNAクローンの作成を行。及び高分子ナノミセルによる薬剤、遺伝子のデリバリーシステムの検討を行う。これらについて機材については既に研究所に準備されているが、マウスや試薬等を購入する。またこれら研究成果を主な学会等で発表する予定である。
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