研究課題/領域番号 |
24791968
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
宮崎 裕司 明海大学, 歯学部, 助教 (40526547)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 研究及び総括 |
研究概要 |
歯原性嚢胞(含歯性嚢胞15例)、歯原性腫瘍(エナメル上皮腫40例、角化嚢胞性歯原性腫瘍40例)のホルマリン固定パラフィン包埋組織より薄切切片を作成し、erbB family分子(erbB1-4)およびAIDに対する抗体を用いた免疫染色法による発現解析を行った。erbB1並びにerbB4では染色に大きな違いはみられなかったが、erbB3が叢状型エナメル上皮腫で強陽性を示す傾向にあること、erbB2は角化嚢胞性歯原性腫瘍で歯原性嚢胞に比べて反応性が乏しくなる傾向にあることが示唆された。AIDは遺伝子変異を誘発する酵素であるが、免疫染色の結果、いずれの組織においてもこの酵素の発現には大きな違いはみられず、erbB発現パターンの変化にはAIDは直接的な関与をしていない可能性が考えられた。 歯原性腫瘍におけるerbBの遺伝子変異の有無を調べるために、組織切片(エナメル上皮腫10例、角化嚢胞性歯原性腫瘍10例)よりDEXPAT(Takara社)を用いてDNAを抽出し、各erbB分子に特異的なプライマー(700bp前後)を用いてPCRを行ったが、目的の産物を得ることができなかった。ハウスキーピング遺伝子であるGAPDH(200bp)に対するプライマーでは明瞭なバンドが得られたことから、DNAの断片化が著しいためであると考えられ、より適切なプライマーを設計し、引き続きこの研究を行っていく予定である。 AIDおよびerbB分子の機能解析を行う目的で、培養細胞株からmRNAを抽出し、cDNAに変換後にこれら分子の全長をPCRにより得た。このPCR産物をTAクローニングベクターに組み込んだのち培養し、発現ベクターとして調整した。歯肉上皮前駆細胞を購入し、DNA transfection Reagentを用いて発現ベクターを導入し、各分子の影響を調べているが、現在のところ明瞭な結果は得られていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
歯肉上皮前駆細胞を購入しAIDおよびerbB分子の発現解析を行ったが、細胞の成長速度が遅いため、当初の研究計画に比べ若干の遅延が生じた。また、良性腫瘍(角化嚢胞性歯原性腫瘍およびエナメル上皮腫)の組織片よりDNAを回収しerbB遺伝子の配列解析を行う予定であったが、回収されたDNAは断片化が著しいため十分な長さのPCR産物を得ることが難しく、解析を行うまでには至っていない。 しかしながら、翌年度実施予定であったAID並びにerbB発現ベクターの構築にすでに着手しており、全体的にみて計画の遅れはわずかなものであると考える。
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今後の研究の推進方策 |
各erbB family分子に対するsiRNAを単独あるいは複数組み合わせて細胞を培養し、影響を顕微鏡下で観察する。さらにMTT assayにより細胞増殖活性を測定するとともに、Cultrex細胞浸潤アッセイやRadius細胞遊走アッセイ、スクラッチアッセイ等により細胞移動能への影響を調べる。また、EGF family分子、NRG family分子のペプチドを単独あるいは複数組み合わせて、かつsiRNAとペプチド共存下での影響を同様に調べていく。また、前年度に作成したerbBあるいはAIDの発現ベクターをTransfection Reagentを用いて細胞に導入し、CytoSelect 96-well Cell Transformation Assay Kitにより形質転換した細胞を定量化して腫瘍化状態を調べる。加えて、DNA Damage Quantification KitによるDNA損傷の有無、および前年度同様にsequence解析を通して遺伝子変異への影響も調べていく。さらに、細胞移動をCultrex細胞浸潤アッセイやRadius細胞遊走アッセイ、スクラッチアッセイ等で調べていく。 また、erbBに対するsiRNAやリガンドのペプチド添加、あるいはerbB強制発現によるintegrinやpodoplaninの発現・活性化をwestern blottingでみるとともに、シグナル伝達分子の活性化を、複数のタンパク質やリン酸化タンパク質のレベルを一度に検出できるProteomeProfiler抗体アレイキット等で解析していく。その後、本研究により得られた結果と、これまでに癌浸潤で報告されていたerbBおよびAIDに関する知見を比較・検討し、歯原性腫瘍の発生・局所侵襲性獲得メカニズムへのerbBシグナル伝達系並びにAIDの関与をまとめていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
歯肉上皮前駆細胞をはじめとする正常口腔細胞、および培養液を購入するとともに、EGF family分子、NRG family分子のペプチド(R&D SYSTEMS社)を購入して上記細胞の培養を行う。加えて、Cultrex細胞浸潤アッセイ(TREVIGEN社)やRadius細胞遊走アッセイ(Cell Biolabs Inc社)による移動能の解析、CytoSelect 96-well Cell Transformation Assay Kit(Cell Biolaabs Inc社)により形質転換した細胞を定量化して腫瘍化状態を解析、DNA Damage Quantification Kit(BioVision社)によりDNAの損傷の有無を調べる。 また遺伝子配列の解析を外部委託にて行う。 この年度は加えて、前年度の結果を発表するための学会参加費にも研究費を使用する予定である。
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