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2012 年度 実施状況報告書

Treponema denticolaの歯周病原性外膜タンパク質の機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 24791973
研究種目

若手研究(B)

研究機関愛知学院大学

研究代表者

安彦 友希  愛知学院大学, 歯学部, 助教 (00470170)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードTreponema denticola / 付着
研究概要

【目的】 Treponema denticolaは、口腔スピロヘータの一種として広く知られている。 T. denticolaの主要な膜画分タンパク質を解析したところ、TDE2508が検出されたが、これまでにTDE2508の機能、歯周病原性との関連は明らかにされていない。そこで本研究では、TDE2508の局在と性状を明らかにし、さらに遺伝子欠失変異株を作製し、バイオフィルム形成能および上皮細胞への付着性について検討した。
【方法】 T. denticola ATCC 35405株を用い、チアミンピロリン酸およびウサギ血清添加変法GAMで培養した。菌体破砕物を超遠心により可溶性および膜画分に分画し、さらに、膜画分を1% TritonX-100への溶解性の差で、内膜および外膜に分画した。各画分におけるTDE2508の局在は抗TDE2508抗体を作製し、ウェスタンブロット解析により行った。TDE2508欠失変異株は、標的遺伝子をエリスロマイシン耐性遺伝子(ermB)に置換して作製した。バイオフィルム形成はポリスチレンプレートへの付着菌量で評価した。また歯肉上皮細胞(Ca9-22)への付着性については共焦点レーザー走査顕微鏡にて検討した。
【結果】 TDE2508は外膜画分に局在し、また複合体を形成していた。作製した欠失株は、野生株と比較してバイオフィルム形成能および歯肉上皮細胞への付着性が有意に上昇した。
以上のことから、TDE2508は付着制御に関与していることが推察された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は、歯周炎の発症・進展メカニズムの解明を目指すために、代表的な歯周病原細菌で、難培養性であるTreponema denticolaの(1)簡便な培養方法の確立と(2)病原性に関わる外膜タンパク質の機能解析により、T. denticolaの病原性を明らかにすることを目的する。
(1)簡便な培養方法の確立については、申請者が着目した市販培地(変法GAM培地)を用いることで、簡便に培養できることを確認した。
(2)病原性に関わる外膜タンパク質の機能解析については、T. denticolaの外膜画分に局在する機能未知のTDE2508タンパク質の欠失株を作製し、 野生株と比較してバイオフィルム形成能および歯肉上皮細胞(Ca9-22)への付着性が有意に上昇したことから、TDE2508は付着制御に関与していることが推察された。

今後の研究の推進方策

これまでの結果から、機能未知であったTDE2508タンパク質が付着制御に関与していることが推察されたが、TDE2508の消失により付着性が上昇した理由については不明である。今後は、T. denticolaの付着因子として既に報告されているmajor outer sheath protein(Msp)等の他のタンパク質の発現および局在の確認を行い、TDE2508の消失により付着性が上昇した理由について更なる検討を行う。また、上記の実験に加え、当初、TDE2508は大腸菌のOmpAポーリン様タンパク質であると推察していたため、その確認をするため、以下の実験について行う。
1. 透過活性の測定
親株および変異株の膜画分を用いて、リポソーム膨張実験にて透過活性を測定する。親株と変異株を比較することによりTDE2508の透過活性の有無を確認する。
2. 透過孔の推定
特異抗体を用いたアフィニティークロマトグラフィーにてTDE2508を精製する。精製TDE2508を用いてリポソーム膨張実験にて透過孔の推定を行う。

次年度の研究費の使用計画

本研究計画・方法においては、設備備品を抑えて、極力既存の設備を使用して研究を遂行しているが次年度はいくつかの設備備品の購入を計画している。
今年度の実験で得られた結果を解析するパーソナルコンピューター1台、統計解析ソフト(Sigma Stat)を購入する。また追加実験等に必要な試薬、培地についても購入する。
さらに、次年度は論文発表および国内外での学会発表を複数行う計画である。研究成果を論文として発表するための外国語論文の校閲、研究成果投稿料、印刷料にも使用する予定である。

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公開日: 2014-07-24  

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