研究概要 |
近年腎臓や肺において骨髄由来の細胞が線維化に関わると報告されるなか、末梢組織の線維化にも十分に関与している可能性があるが、それを確かめるモデル実験系が存在しなかった。そこで今回、非常に強い蛍光を発する赤色蛍光色素強発現トランスジェニックマウスから骨髄細胞を採取し、顎関節部に炎症性線維化病変を惹起させた非蛍光マウスに移植後、そのホーミングの様子をリアルタイム蛍光イメージングすることで顎関節における骨髄由来細胞の関与とその分子メカニズムについて明らかにすることを目的とする。 平成24年度は「赤色蛍光強発現トランスジェニックマウスからの細胞採取とfluorescence activated cell sorting (FACS)を用いたfibrocyteの単離・培養」を行った。赤色蛍光強発現マウスの骨髄、末梢血および脾臓から細胞成分を採取した。骨髄および末梢血に関しては既に報告されたプロトコール(Bucala R et al. 1994, Mol Med, Chesney J et al. 1997, Proc Natl Acad Sci USA) に従いFicoll-Paque PREMIUM (GEヘルスケア・ジャパン株式会社) を加えて遠心力により密度勾配媒体中に沈降させる方法で血球系細胞を分離した。分離した細胞をフィブロネクチンコートディッシュに播種し培養後、非接着細胞を除去した。ディッシュ底面に接着した細胞をCD45およびI型コラーゲン抗体にて免疫染色を行ったところ、両方の抗体で染色される細胞を観察できた。一方、脾臓細胞に関しては被膜内の細胞を採取後、溶血処理を行い残った細胞を用いた。これらの細胞からanti-CD45およびanti-Gr1を用いてFACSによりfibrocyteになりうる細胞(fibrocyte-like cells)を単離した。
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