研究課題/領域番号 |
24791982
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
梅村 直己 明海大学, 歯学部, 助教 (80609107)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 頭頸部扁平上皮癌 / Toll様受容体 / がん幹細胞 |
研究概要 |
申請者のこれまでの研究成果により、Toll様受容体3(TLR3)作動薬がヒト頭頸部扁平上皮癌の転移巣を抑制する事を明らかにし、その作用機序も解明していた。そこで、本研究はそれを元に、頭頸部扁平上皮癌の為の新たな分子標的薬として、TLR3作動薬の腫瘍転移抑制薬としての治療応用を検討する為にマウス頭頸部扁平上皮癌細胞株を用いて、細胞培養上でのTLR3作動薬投与によるアポトーシス誘導、をDNAの断片化、ウエスタンブロッティングでの新規アポトーシスの指標であるcleaved PARP、Annexin Vもしくはカスパーゼ3/7の発現量を確認する事でTLR3作動薬のアポトーシス誘導を評価を行った。 本研究を実施している間に、Toll様受容体とがん幹細胞(Cancer stem cells)との相互関係が化学療法に対する耐性獲得や腫瘍再発と関連するかもしれないとの論文{Cancer Biol Ther. 2011 Apr 15;11(8):708-13. Epub 2011 Apr 15.}が発表されたため、申請者は頭頸部扁平上皮癌のToll様受容体とがん幹細胞との関連を調べる為に、まず始めに頭頸部扁平上皮癌細胞株のがん幹細胞マーカーであるCD44の発現をウエスタンブロッティング法にて調べた。さらに頭頸部扁平上皮癌細胞のがん幹細胞の特徴解析のため、MACS磁気細胞分離法(Miltenyi Biotec GmbH, Bergisch Glabach, Germany)を用いて幹細胞を分離し、CD44陽性細胞に対しcolony formation assayと細胞周期解析を行いCD44陽性細胞が幹細胞の特徴を有していることを明らかにした。 今後は頭頸部扁平上皮癌がん幹細胞とToll様受容体の相互関係を検証する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、マウス頭頸部扁平上皮癌転移モデルを作成し、Toll様受容体作動薬の腫瘍転移抑制、腫瘍免疫能亢進を検証し、それをもって、新しい分子標的薬開発の礎にすることを目的としていたが、本研究を遂行している間にがん幹細胞とToll様受容体の相互関係が腫瘍再発抑制、化学療法耐性獲得に重要である知見が得られたため、頭頸部扁平上皮癌細胞のがん幹細胞の特徴を明らかにする必要性が生じた。そのため、マウス頭頸部扁平上皮癌転移モデルを作成が遅れている。しかしながら、今後は頭頸部扁平上皮癌のがん幹細胞を解析し、がん幹細胞とToll様受容体との相互関係を明らかにすることで新しい分子標的薬に結びつくと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
頭頸部扁平上皮細胞のがん幹細胞をMACS磁気細胞分離法を用いて分離し、さらにがん幹細胞の特徴を解析し、化学療法に対する耐性獲得機序、腫瘍再発機序を明らかにし、同時に頭頸部扁平上皮癌のToll様受容体作動薬ががん幹細胞を有効に作用するか検証する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
上述したように頭頸部扁平上皮癌細胞からがん幹細胞を分離するため磁気抗体ビーズ、がん幹細胞の特徴解析、さらにはToll様受容体作動薬のがん幹細胞への効果を検証するためにウエスタンブロッティング法、RT-qPCRの各試薬(Toll様受容体作動薬、抗体を含む)を使用する。
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