研究課題
本研究の目的は、糖尿病等の糖代謝異常疾患に続発して生じる二次性骨粗鬆症の病態形成におけるモノカルボン酸トランスポーター(monocarboxylate transporter:MCT)の役割を明らかにし、MCTを標的とした新たな骨粗鬆症の予防・治療方法の開発の可能性を探ることにある。平成25年度は、筋芽細胞株C2C12細胞を用いてMCTを介したエネルギー代謝が骨芽細胞分化を調節する機序について解析した。C2C12細胞は、骨形成タンパクであるBMP-2の刺激によってアルカリホスファターゼ(ALP)陽性の骨芽細胞様細胞へと分化する。前年度の研究結果から、BMP-2で刺激したC2C12細胞のALP陽性細胞数は低グルコース環境下では著しく減少し、BMP誘導性骨芽細胞分化にはグルコース代謝が必要である可能性が考えられた。また、通常のグルコース濃度でも、MCTサブタイプの一つであるMCT-1を抑制するとALP陽性細胞数が減少したため、MCT-1の基質である乳酸を培地に添加したところ、乳酸の濃度依存的にALP陽性細胞数は増加した。また、低グルコース環境下において著しく減少したALP陽性細胞数も、高濃度の乳酸の添加によって回復した。MCT-1のsiRNAはこれらの乳酸の作用を抑制した。このことから、MCT-1を介した乳酸の膜輸送がBMP-2刺激による骨芽細胞分化誘導に必要である可能性が示唆された。
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Cell Tissue Res
巻: 352 ページ: 401-412
10.1007/s00441-012-1548-8