研究課題/領域番号 |
24791992
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
中川 靖子 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 研究員 (80451392)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | シェーグレン症候群 / B細胞 / 唾液腺炎 |
研究概要 |
シェーグレン症候群(以下SS)では末梢血B細胞での分化異常が起きていることが報告されているが、近年になって唾液腺組織局所においてもB細胞の異常の関与が示唆されている。B細胞分化に関わるアダプター分子Act1の欠損マウスは各種の免疫学的所見より、SSのモデルマウスと考えられる報告がされている。そこで本研究では、SSにおけるB細胞異常と唾液腺炎との関連をAct1に注目して検討した。 これまでにSS患者末梢血B細胞におけるAct1mRNA発現をReal-timePCRにて検討したところ、SS群は健常群に比べてAct1mRNAの発現は低下していることを確認、対照疾患として全身性エリテマトーデス(SLE)と、関節リウマチ(RA)についても発現を検討したところ、SLEにも同様の傾向があり、Act1mRNA発現の低下がB細胞異常に関係が深いとされる自己免疫疾患に影響を及ぼしている可能性が考えられる。 そこで、これまでのAct1mRNA発現の解析結果と臨床所見(血液検査値や唾液分泌量・口唇生検病理像・MRシアログラフィー所見など)との相関を調べ、臨床応用の可能性を検討した。その結果、血清IgG値との逆相関が認められ、末梢血B細胞のAct1発現低下がB細胞活性化および自己抗体の発現異常に関与している可能性が示唆された。 今のところ末梢血B細胞Act1mRNA発現と口腔乾燥所見に関連する臨床所見との相関は認められていないが、唾液腺炎との関連を明らかにするため唾液腺でのAct1発現の解析を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
唾液腺炎の状態を解析するために口唇腺での免疫染色を予定しているが、適当な抗体を見つけるのに時間がかかっている状況。
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今後の研究の推進方策 |
唾液腺浸潤細胞とSS末梢血B細胞でのAct1発現に相関の有無があるのかを検討する。 SS診断時の口唇生検で採取した患者口唇腺を用いて、免疫染色法にて唾液腺浸潤細胞の組成をT細胞、B細胞、形質細胞など詳細に解析した上で、Act1の発現および局在の解析を行う予定である。同時に、各種サイトカインの発現を解析し、SS唾液腺にみられる唾液腺炎の慢性化という病態に対するAct1の影響を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度研究費が発生する前に購入した試薬類から使用して実験を行っていたため、試薬類に予定よりも研究費を使わなかったこと、研究に用いる検体の入手が少なかったことより24年度未使用額が生じた。 現時点で在庫の試薬類はかなり減っているため、24年度未使用額を今年度の試薬類に用いる予定である。
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