研究課題/領域番号 |
24791993
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
伊藤 あゆみ 東北大学, 大学病院, 医員 (50622990)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | シェーグレン症候群 |
研究概要 |
本年度の研究では細胞外ATPが唾液腺上皮細胞に作用しいかなる免疫応答を引き起こすかについて究明するために、ヒト唾液腺上皮細胞を高濃度のATPで刺激し、シェーグレン症候群発症に関与することが知られているサイトカイン(IL-17,IFN-γ)の発現の解析を進めてきた。また、これらのサイトカインが唾液腺上皮細胞の外部から作用した場合に細胞外ATPの感受性において変化がみられるかを検討するために、ヒト唾液腺上皮細胞株をサイトカインで刺激し、細胞外ATPの受容体であるP2X7受容体の発現に変化がみられるかについての解析も進行中である。本年度検討を行ったサイトカインの他にもシェーグレン症候群発症に関与するとされるIL-18やLPSなどについても、同様に実験を行い検討を進めていく必要がある。 唾液腺上皮細胞を細胞外ATPで刺激することによりMHC classIIを内包したexosomeが細胞外に放出されることが先行研究によって明らかにされているが、このexosomeの解析を進めるにあたり、培養細胞からのexosomeの回収量が少なく、刺激後培養上清から必要量が確保できない場合が多いことが課題として見えてきた。現在回収量を安定させるために、研究方法の見直しを行っているところである。安定した回収方法を確立した後、シェーグレン症候群の自己抗原であるRo/SS-A、Ra/SS-B、α-fodolinが内胞されているか調べるために、これらのタンパク発現をウエスタンブロット法で解析していく予定である。 さらに、これらのヒト唾液腺上皮細胞株での結果をもとに、今後、実際のシェーグレン症候群患者および健常者の唾液腺上皮についての免疫応答についても検討を行う必要がある。そのため、現在シェーグレン症候群患者および健常者の下唇小唾液腺の収集も並行して進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒト唾液腺上皮細胞株を用いた研究については、細胞外ATPとシェーグレン症候群に関連する炎症性サイトカイン発現の検討、およびサイトカイン刺激によるP2X7受容体発現の検討はほぼ順調に進行している。exosomeの解析については、培養上清からの回収方法の確立ができていないため、研究方法の見直しに時間を要しており、十分な検討が行えていない状況となっている。 シェーグレン症候群患者の下唇小唾液腺の収集については、検討に必要なサンプル数が確保できつつある状況である。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト唾液腺上皮細胞株における細胞外ATPと炎症性サイトカインとの関連性についてさらに検討をすすめていくと共に、exosomeの効率的な回収方法の確立を目指す。その後、P2X7受容体の発現を増強させた刺激(外因性シグナル)とATP(内因性シグナル)で上皮細胞を同時に刺激し、MHC class IIの発現およびexosomeの分泌についての解析を行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度はexosomeの回収方法が確立できず、必要な物品費の使用が予定通り進まなかったが、次年度では実験方法の確立に努め解析に必要な物品費を使用する。 また、本年度は研究室の改修・移転により研究機器の購入が難しい状況であったが、移転が完了したため、次年度では本年度分と合わせて必要な機器類の購入のために物品費を使用していく。 さらに研究成果発表のための旅費も使用する予定である。
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