研究課題/領域番号 |
24791993
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
伊藤 あゆみ 東北大学, 大学病院, 医員 (50622990)
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キーワード | シェーグレン症候群 |
研究概要 |
本年度の研究では昨年度の研究から引き続き、ヒト唾液腺上皮細胞を高濃度のATPで刺激し、シェーグレン症候群発症に関与することが知られているサイトカイン(IL-18,IFN-γ)の発現の解析を進めてきた。また、ATP刺激後に唾液腺細胞からシェーグレン症候群に関連した自己抗原が放出されるかを確認するために、培養細胞を超遠心しexosomeの回収を試みてきた。先行研究で用いた回収方法では量が非常に微量であったため、回収量の増加を図り回収方法の再検討を行ってきたが、確実な回収方法がまだ確立できていない状況であり、更なる改善が求められる。 また、実際のシェーグレン症候群患者と健常者の下唇小唾液腺組織を収集し、免疫染色によるP2X7受容体の発現の検討を行ってきた。現在、IL-18、IFN-γなどの炎症性サイトカインの発現についても染色を進めているところである。また、シェーグレン症候群患者の下唇小唾液腺において、病態のステージごとにP2X7受容体、炎症性サイトカインの発現が変化しているかを検証するため、各ステージごとの小唾液腺の収集を進めている。 さらに、本年度の研究では、健常者の下唇小唾液腺において、高濃度ATP刺激後のMHC classIIの発現についての検討も行ってきた。併せてヒト初代培養系においてもヒト唾液腺上皮細胞株と同様の現象が確認できるかを検討する計画であったが、細胞培養の際に安定した数の細胞を培養することができず、培養方法の改善が課題として見えてきた。今後、培養方法を工夫し、効率よく安定した細胞数が確保できるようにしていく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度から継続してきたヒト唾液腺上皮細胞株を用いた研究については、細胞外ATPとシェーグレン症候群に関連する炎症性サイトカイン発現の検討については順調に計画を進めることができたが、exosomeの回収については依然進行していない。シェーグレン症候群患者の下唇小唾液腺の免疫染色については、現在免疫染色を遂行中であり、ヒト初代培養系における検討については、細胞培養時に安定した細胞数を確保できないことがあり、培養方法の改善が求められる。
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今後の研究の推進方策 |
シェーグレン症候群患者の下唇小唾液腺における、P2X7受容体と炎症性サイトカインの発現について免疫染色を進めていくと共に、各病態のステージごとの検討を進めていく。また、ヒト初代培養系における細胞外ATPによる炎症・免疫反応の検討を行うために、細胞培養の方法を改良し、必要十分かつ安定した量の培養細胞の確保を目指す。安定した培養が可能になったところで、細胞外ATP及び炎症性サイトカインによる免疫応答についての研究を行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、当初計画していたヒト初代培養系における細胞外ATPによる炎症・免疫反応の検討を次年度に延期することによって生じたものである。 次年度以降に研究を実施する際に必要な経費として、H26年度請求金額とあわせて使用する予定である。
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