研究課題/領域番号 |
24791993
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
伊藤 あゆみ 東北大学, 大学病院, 医員 (50622990)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | シェーグレン症候群 |
研究実績の概要 |
本年度の研究では、健常者の下唇小唾液を採取・培養を行い、高濃度のATPで刺激し、MHC class IIの発現がみられるかについてと、シェーグレン症候群発症と関連があるとされているサイトカインの発現を検討する計画であった。採取した下唇小唾液腺からの細胞培養を試みてきたが、解析に必要となる量まで培養することが難しく、解析に必要十分な量の細胞を安定して確保することができず、培養方法の確立に苦慮している状況である。今後の課題として、効率のよい培養方法を確立していくとともに、少ない細胞数で、これらの免疫・炎症反応を検討する方法について再検討していく必要性があると考えられる。 また、下唇小唾液腺の培養と並行して、実際のシェーグレン症候群患者の唾液腺での炎症反応の様子を確認するため、患者と健常者の下唇小唾液腺のサンプルの収集を進めてきた。シェーグレン症候群患者の唾液腺については、唾液腺採取と同時に病理切片を作成し、唾液腺の炎症の程度に応じて分類した。疾患の各病態での状態を比較するために、様々なステージのサンプルの収集を行い、各病態において解析に必要なサンプルの収集が完了したため、これからP2X7受容体の発現および各炎症性サイトカインの発現を解析していく段階にある。現在解析に先立ち、染色条件の検討を行っているところである。また、免疫染色の結果と比較、検討できるように血液検査の結果、および耳下腺造影検査の結果もデータとして収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
シェーグレン症候群患者の下唇小唾液腺の免疫染色については、必要となるサンプルが確保できたためP2X7受容体および炎症性サイトカインの発現を免疫染色で確認していく段階にあるが、まだ染色条件が確定していない。そのため、現在抗体をはじめとした各染色条件の検討を行っているところである。また、ヒト初代培養系による細胞外ATPとシェーグレン症候群に関連する炎症性サイトカイン発現の検討については、解析に必要な細胞数を未だに確保できない状況であることから、更なる培養方法の改善もしくは研究方法の見直しが必要であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
シェーグレン症候群患者の下唇小唾液腺における、P2X7受容体と炎症性サイトカインの発現について、免疫染色による解析を行うための染色条件を早期に確立し、解析を進めていく。さらに、各病態のステージごとに、受容体および炎症性サイトカインの発現状況に変化が見られるかについての検討も進めていく予定である。併せて、ヒト初代培養系における細胞外ATPによる炎症・免疫反応の検討を行っていくために、引き続き解析に必要となる十分量の細胞を確保するための方法を確立し、解析を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度予定していたシェーグレン症候群患者における唾液腺病変組織でのP2X7受容体の発現について十分な解析ができなかったことから、次年度に研究を延長し、新たな染色条件科でのさらなる解析を行っていくために生じたものである。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に研究を実施する際に使用する抗体をはじめ、新しい試薬と必要器材の購入、および学会での発表のための経費として使用する予定である。
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