研究課題/領域番号 |
24791997
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
大野 建州 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (80435635)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | IL-33 / 歯周病 / サイトカイン |
研究概要 |
歯周病病態形成におけるIL-33の関与を調べるために、上皮細胞におけるIL-33発現を解析した。C3H/Heマウス由来口腔扁平上皮癌細胞株NRS-1細胞にLPS刺激を行い、IL-33 mRNAおよびタンパク発現を解析した。LPS刺激後4時間でIL-33mRNA発現の増強が認められた。また、LPS刺激後24時間で細胞内にIL-33タンパク発現の増強が認められた。このことは歯周病原性細菌由来のLPSによって口腔上皮細胞からIL-33が産生され、歯周病病態形成に関わることを示唆する結果である。マクロファージではIL-33は細胞内で産生された後、ネクローシスが誘導された時に細胞外に放出される。実際に口腔上皮細胞でも同様のメカニズムでIL-33が細胞外に放出されるかNRS-1細胞を用いてELISA法で解析を行った。NRS-1細胞ではLSP刺激によって細胞内に高いIL-33発現が誘導されるものの、IL-33は細胞外に放出されなかった。またLPS刺激後にNRS-1細胞にネクローシスを誘導させるとIL-33が細胞外に放出された。この結果は口腔上皮細胞もマクロファージ同様に、ネクローシスが誘導されることによってIL-33を細胞外に放出することを示すものであり、歯周病病変部においてネクローシスが誘導された上皮細胞からIL-33が放出され、病態形成に関与する可能性を示唆するものである。次に、IL-33がLPS誘導性マウス歯周病モデルにおいてどのように関与しているか、IL-33欠損マウスを用いて解析を行った。LPSを歯肉内注射後24時間後の歯肉組織内における炎症性サイトカインIL-1aおよびTNFa発現量は野生型と比較して少なかった。この結果はIL-33が歯周病病変部、特に歯肉組織における炎症性サイトカイン発現を増強させる機能を持つことを示唆するものである
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究における本年度の計画概要はマウス歯周組織におけるLPS依存的にIL-33発現が増強する細胞の同定と、歯周病マウスモデルを用いて歯周病病態形成へのIL-33による関与を検討する(平成24-25年度)であった。本年度はLPS依存的にIL-33発現が増強する細胞として口腔上皮細胞を明らかにすることができた。さらにIL-33欠損マウスを用いたLPS誘導性歯周病マウスモデルによって、IL-33がLPSに誘導する炎症性サイトカイン発現を増強する役割があることを示すことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究方針として重要なことはヒト歯周病病態形成におけるIL-33の関与の解析である。次年度は、ヒト歯周組織におけるLPSまたは歯周病原細菌依存的にIL-33発現・放出が増強される細胞の同定および放出機構の解析および歯周病患者歯周組織および歯肉溝浸出中のIL-33発現または濃度を解析によるIL-33のヒト歯周病病態形成への関与を評価する。具体的にはヒト歯周組織におけるLPS刺激または歯周病原細菌株TDC60によってIL-33発現が増強する細胞を同定する。前年度のマウスを用いた実験結果を踏まえて、ヒト培養細胞(細胞株を含む)を用いて、ヒト歯周組織におけるIL-33産生細胞の同定および放出メカニズムの解析を行う。また、歯周疾患炎症部位におけるIL-33発現量を解析する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
|