研究課題/領域番号 |
24792009
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
田邉 奈津子 日本大学, 歯学部, 准教授 (10409097)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 破骨細胞 |
研究概要 |
破骨細胞前駆細胞はLPAの刺激により,破骨細胞への分化・生存に影響を与える炎症性サイトカインの遺伝子発現を調べた結果,LPAを刺激したRAW264.7細胞は,IL-bataの遺伝子発現を増加させた一方,TNF-alphaの遺伝子発現には影響が見られなかった。次にLPA受容体の遺伝子発現を調べた結果,LPAはRAW264.7細胞のLPAR1の遺伝子発現を増加させたが,他のLPA受容体であるLPAR2, 3, 4, 5, 6の遺伝子発現には影響を及ぼさなかった。LPA刺激により破骨細胞破骨細胞前駆細胞RAW264.7細胞の破骨細胞分化はLPA刺激では変化は認められなかった。さらに,LPA刺激で破骨細胞の細胞伝達機構を調べるために破骨細胞の分化・機能発現に重要な役割を示す転写因子NF-kappaBの活性を示すNF-kappaBの核内移行を蛍光免疫染色で調べた結果,LPA刺激によってわずかな上昇が認められた。これらの結果から,LPAは破骨細胞前駆細胞に作用すると,LPAR1を介して破骨細胞分化と生存を上昇させ炎症性サイトカインの1つであるIL-1betaの遺伝子発現を増加させることが示唆された。すでに申請者は,本実験結果より,LPA刺激が破骨細胞・破骨細胞前駆細胞に作用するとLPAR1を介してIL-bataを産生し,産生されたIL-1betaがautocrineに作用することにより破骨細胞の生存を延長に関与している可能性が考えられた。次に関連実験として,破骨細胞前駆細胞 (RAW264.7細胞) をニコチンで刺激し,破骨細胞への分化,無機質溶解能および骨吸収能に及ぼす影響を調べた。ニコチン刺激によって,破骨細胞数は増加したが,個々の細胞の面積と細胞の核の数は減少した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記に記載した研究実績は,交付申請書に記載した平成24年度研究実施計画をほぼ到達している。さらに関連実験であるニコチンの破骨細胞前駆細胞の直接刺激が及ぼす破骨細胞分化および機能に及ぼす影響に関しても興味深い実験結果が得られていることから,上記に示した自己評価に至った。
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今後の研究の推進方策 |
破骨細胞の炎症性サイトカイン産生および骨吸収関連酵素発現に及ぼすLPA の影響 マウス単球由来のRAW264.7 細胞またはマウス骨髄細胞から分化させた破骨細胞様細胞をLPA または,RANKL との共刺激後刺激後, サイトカインおよび骨吸収関連酵素 (carbonic anhydrase II,cathepsin K, MMP-9) の遺伝子発現をreal-time PCR 法,タンパク発現をWestern Blot 法,ELISA 法または蛍光免疫染色で調べる。骨吸収関連酵素発現へのサイトカインによるautocrine作用の有無は,それらの中和抗体またはレセプターアンタゴニストを用いて調べる。 LPAは骨芽細胞においてATPの刺激により産生し、骨形成を促進するという報告されている。したがって関連実験として,メカニカルストレスを骨芽細胞に付与により産生されたATPが及ぼす影響についても検索したいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度使用するために購入した消耗品が思ったより安く購入できたため,次年度に研究費を繰り越した。繰り越した研究費は今年度必要な消耗品の購入,研究成果を欧文誌に投稿する際に英文添削の費用に使用したいと考えている。
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