研究実績の概要 |
破骨細胞前駆細胞にリゾホスファチジル酸(LPA)を刺激すると,炎症性サイトカインの1つであるIL-1betaの産生が増加し,IL-1betaのオートクリン作用によって破骨細胞自身し作用し,破骨細胞の生存を延ばすことが示唆された。 さらに関連実験として,メカニカルストレスとして低出力超音波(LIPUS)および牽引力(TF)を用い,これらのメカニカルストレスが骨芽細胞のP2X7-ATP pathwayを介した骨形成に及ぼす影響を細胞および分子生物学的に検索した。 骨芽細胞に14日間TFを負荷すると,細胞外ATP産生が促進することにより,ATPの関連受容体であるP2X7受容体を活性化することにより,細胞外マトリックスタンパク(の産生増加およびアルカリホスファターゼ活性上昇を介して骨芽細胞の石灰化物形成を促進することを明らかにした。また,TFによって増加したBone sialoprotein, osteopontin , osteocalcinはPGE2依存的に産生量が増加する一方,Type I collagenはその影響を受けないことが明らかになった。 さらに骨芽細胞にLIPUSを継続的に刺激すると,細胞外ATPが産生されP2X7受容体を活性化し,ALPase非依存的に細胞外マトリックスタンパク産生,細胞外リン酸濃度およびマトリックス層のカルシウム量が促進することが示された。以上の実験結果より,適度かつ継続的なメカニカルストレスは,骨形成を促進するが,ストレスの種類によって,形成のメカニズムが異なることが示唆された。関連実験として,TFを軟骨細胞に負荷し細胞外ATPが軟骨細胞分化に及ぼす影響を調べた。
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