研究概要 |
本研究は唾液腺癌をはじめとする口腔癌におけるEGFR-1からのシグナル伝達に深く関与するRASの遺伝子変異の状況の検討を、Loop-mediated isothermal amplification (LAMP)法を利用し、迅速で簡便な検査法を開発することである。 始めにEGFR-1およびRAS遺伝子の突然変異の検出のために、EGFR-1の突然変異として肺癌で報告されているキナーゼドメインのdeletion mutantに対するプライマーセット(5セット)、RASの突然変異として大腸癌や膵臓癌で多く報告されているアミノ酸配列12番目および周辺領域に対するプライマーセット(7セット)を設計した。次いで肺癌細胞株(NCI-H1573, NCI-H1975)および大腸癌細胞株(CK-CO-1, LS123, SW48, T84)を培養し、抽出されたgenomic DNAをコントロールとしてLAMP法を行った。プライマーセットのうち、増幅の見られないものや非特異反応の多いものを除外し、約30分で検討できるプライマーセットをそれぞれ2セット得た。 唾液腺癌および扁平上皮癌のパラフィン包埋ブロックから抽出されたgenomic DNAを用いて遺伝子増幅実験を行ったところ、良好な増幅が見られなかった。培養細胞をホルマリン固定して同様の実験を行ったところ、ホルマリン固定の時間に依存して増幅の阻害が見られた。またホルマリン固定後のgenomic DNAを電気泳動したところ、約400~800kb程度に切断されていた。
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