研究課題/領域番号 |
24792016
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
高垣 智博 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60516300)
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キーワード | 機能性モノマー / FIB-TEM / QCM-D |
研究概要 |
FIBを用いたマイクロサンプリング法は工業分野においては確立されたものではあるが、硬さの異なる2種の材料の界面における加工にはまだ工夫が必要であった。そのため昨年度から本年度にかけて、歯科接着材料とエナメル質との界面におけるTEM試料の作成を行い、その観察結果を報告してきた。他にも超高倍観察時のための追薄片化技術の基準を設定する必要がある。ヒトエナメル質に対して市販の接着材料を用いたサンプルを作成し、再現性のある試料作成の手法を確立することを本年度の目的としてきたが、その概ねは達成できている。また、それらから派生したヒトエナメル質試料を用いた接着界面の耐久性の研究結果や、ハイドロキシアパタイトをコーティングしたQCM-D法などの研究を実施することにより、界面でのナノレベルでの現象と、臨床的な知見をリンクさせることができていると思われる。また、各種機能性モノマーならびにその有無がアパタイト結晶の形態に及ぼす影響についても。研究協力者でもあるクラレメディカル社の協力を得て、MDP、Phenyl-P、4-METAのほかにもGPDMなどを別途合成し、各種機能性モノマーがエナメル質に対してどのような反応を示しているかの解析を実施した。特にこの範疇においては、QCM-D法での解析が高く評価され、第5回国際接着歯学会(フィラデルフィア)にてScientific Awardを受賞するに至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エナメル質接着においては、従来からエッチングによる機械的な嵌合力が重要な役割を果たすとされてきたが、我々の近年の研究結果から機能性モノマーがその接着界面の長期耐久性に果たす役割は非常に大きいものであることが明らかにされてきている。その中で、分子レベルでの化学的接着機序の完全なる解明が強く求められてきていた。ヒトエナメル質接着界面において、FIBを用いたマイクロサンプリング法を応用し、TEM試料を作成、観察したことにより、エナメル質接着材界面のTEM試料のサンプリングを確立することができた。また、複数の機能性モノマーのエナメル質に対する化学的結合の比較をQCM-Dを用いて行い、そのデータの蓄積から各種k脳性モノマーの化学的吸着挙動が明らかとされた。各機能性モノマーがアパタイト内のCaに対してどのように結合しているのかを、超高倍観察にて検討するという課題においてはまだ取り組む部分は多いものの、全体としては概ね順調に推移していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる本年は、エナメル質接着界面におけるFIB-TEMを用いた解析のみならず、FIBを応用した歯科用ジルコニアー接着性セメント界面の観察にも応用し、さらなるFIBの適応の拡大を検討する。また、国際学会での成果発表ならびに国際誌への論文投稿を予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
最終年度である本年度において、国際学会発表ならびに国際誌への論文投稿を予定しているため. International Acaddemy of Dental Research Annual Meetingにて学会発表を行う際の渡航費の一部として使用予定.
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