研究課題/領域番号 |
24792019
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
サダル アリレザ 東京医科歯科大学, 歯と骨のGCOE拠点, GCOE拠点形成特任教員 (20567755)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 保存修復 / コヒーレンストモグラフィー / OCT / コンポジットレジ / 微小漏洩 |
研究概要 |
光干渉断層計(Optical Coherence Tomography, OCT)は、生体の断層画像を非侵襲的に得ることができ、歯科臨床における導入が期待される。本研究の目的はOCT画像における輝度変換部分に画像処理を行い、ギャップの検知を試みる。 本年度はOCTから得られたコンポジットレジン修復物の画像を用いることにより、修復物の総体的な適合性の評価を、効率的に行うことができることが報告された。このようなギャップは光照射を行った直後の重合収縮によって生じることがものと推察された。 一部の実験でヒト抜去歯に窩洞を形成し、2ステップ接着剤または1ステップ接着剤を用いて窩洞を処理し、充填にはフローアブルコンポジットレジンによるライナーと、通常のコンポジットレジンによる積層充填とバルク充填とを行った。充填操作24時間後、OCT画像におけるコンポジットレジン辺縁の輝度変換部分をギャップとして判定した。2ステップ接着材では接着界面にギャップはみられず、充填方法による違いもみられなかった。しかしながら、1ステップ接着材では充填法によってギャップの生成に違いがみられ、積層充填を行うことによって良好な窩壁適合性が得られた。 さらに本年度の研究では、間接法による接着修復物の窩洞の適合性を、SS-OCTを用いて調査した。間接修復で露出した象牙質を保護するために、接着材で象牙質表面をコーティング方法があって、本実験でレジンコーティングの有無が適合性に及ぼす影響を比較した。結果、レジンコーティングを窩洞に施すことにより、修復物の適合性が向上することが判明した。特に熱応力試験においてはレジンコーティングの長所が明らかになった。 なお本年度の研究費で、OCT画像でギャップ処理を行うソフトを開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では歯科領域におけるSS-OCTシステム(Swept-Source Optical Coherence Tomography)で修復物の総体的な適合性の評価を、効率的に行うことができることを確認した上に、2次元の画像でギャップ処理を行うソフトを開発した。さらにOCTで多層構造のレジン修復を評価できることを実証した。
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今後の研究の推進方策 |
今後SS-OCTシステムによる画像取得をリアルタイムで得ることに関して大変興味ある結果を得ている。リアルタイムで複合系(硬組織-接着剤-コンポジットレジン)における変化、重合収縮方向性に起因する界面部位の変位、硬組織の変形、あるいはギャップの発生の視覚化が可能となった。 このようなギャップは光照射を行った直後の重合収縮によって生じることがものと推察されている。そこで、同様のI級窩洞モデルにおいて、窩壁部、窩底部における微小引張り接着強さを測定し、OCTから得られる適合性の評価との関連性を調査し、窩洞における接着界面の挙動をより詳細に追及する。
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次年度の研究費の使用計画 |
OCTから得られたコンポジットレジン修復物の3D画像を用いることにより、窩洞の外形ならびに充填されたコンポジットレジンの様相を立体的に再現することができ、また3D画像の任意の部位から得られた断層画像において、窩洞周囲にみられる輝度の上昇は、接着界面に発生したギャップであることが確認されている。次年度の研究費は一部3次元のソフト開発で使う。さらに、研究結果を国内外の学会で発表する予定である。
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